連載・おきなわ41物語/みんなが優しくなれる座間味村
- 掲載日:
- 2024.12.20
41、それは沖縄県にある市町村の数です。
本連載「おきなわ41物語」では、41市町村のイマの魅力を現地ライターが独自取材。
地元民しかしらない地域ならではの魅力や穴場スポット、とっておきの寄り道グルメなど、沖縄をもっともっと好きになってしまうような、唯一無二の旅のアイデアを紹介してまいります。
41の物語とともに、新しい沖縄を再発見してみませんか?
透き通る青い海と豊かな自然が魅力
座間味村は、沖縄県の慶良間諸島に位置する美しい村で、主に座間味島、阿嘉島(あかじま)、慶留間島(げるまじま)などから構成されています。座間味村は、透き通る青い海と豊かな自然が魅力で、世界中から多くの観光客が訪れます。
座間味PR動画
INDEX
| Access |座間味村までの行き方
那覇空港から車又はゆいレールで泊港へ、泊港から船で座間味村へ行くアクセス方法がおすすめです。
座間味村への船舶は、フェリーざまみ3と高速船クイーンざまみがあります。
■那覇空港→泊港
お車の場合:那覇空港から車で約15分です。
ゆいレールの場合:那覇空港からゆいレールで約14分「美栄橋駅」下車、「美栄橋駅」から徒歩約10分で泊港です。
■泊港→座間味村
座間味村には座間味島の座間味港と、阿嘉島の阿嘉港の二つの港があり、泊港からの船便は両方に入港します。
◎所要時間(フェリーざまみ3)
泊港→阿嘉港 約90分
阿嘉港→座間味港 約15分
◎所要時間(高速船クイーンざまみ)※毎日2パターンの運航があります。
①泊港→阿嘉港→座間味港→泊港
②泊港→座間味港→阿嘉港→泊港
泊港⇔阿嘉港、泊港⇔座間味港 各約50分
座間味港⇔阿嘉港 約10分
※ご予約は1ヶ月前同日(受付時間10:00~17:00)より受付しています。特に夏季は混みあいますので事前予約をお勧めします。
予約受付窓口 座間味村役場 那覇出張所 TEL:098-868-4567
慶良間の島々への快適な船旅をお楽しみください。
| interview |新たな発見がある、おすすめの目的地を教えてください
座間味村は、沖縄県の慶良間諸島に位置する美しい村で、主に座間味島、阿嘉島(あかじま)、慶留間島(げるまじま)などから構成されています。座間味村は、透き通る青い海と豊かな自然が魅力で、世界中から多くの観光客が訪れます。今回は、そんな座間味村の一歩踏み込んだ一面も紹介したい!地域を知り尽くしたみなさんに、ズバリこんな質問をしてきました。
「新たな発見がある、おすすめの目的地や新しい楽しみ方を教えてください」
この問いに答えてくれたのは、一般社団法人座間味村観光協会のみなさん
「座間味村の島々は有人島だけでなく無人島もあり、船で渡ることができるので、是非アイランドホッピングを楽しんで!実は座間味島はネコ島なんですよ!ビーチエントリーでダイビングしないとみられないようなサンゴが広がっている!」等々地元の人だけが知る、情報がバンバン出てきました!
では、座間味村観光協会のみなさんの案内で、今まで見たことがない座間味村の楽しみ方を見ていきたいと思います。
おすすめ①「クジラにやさしいウォッチング」一般社団法人座間味村ホエールウォッチング協会
座間味島周辺の海域は、ザトウクジラの繁殖海域(国立公園指定理由の一つ)
冬になるとザトウクジラの群れが遠く離れた北の海から暖かい座間味の海に出産、繁殖、子育てのために帰ってきます。島の周辺海域で間近で見るザトウクジラとの出会いは、大きな感動を与えてくれます。
一般社団法人座間味村ホエールウォッチング協会は、「クジラにやさしいウォッチング」をモットーに1991年に設立され、30年以上の歴史と実績を兼ね備えた団体です。
1985年、2頭のザトウクジラを見つけた宮村幸文 船長
「自主ルール」を設立当初から守り、特に母子クジラに配慮
クジラにストレスを与えないようにする自主ルール(抜粋)
・船の方からクジラの100m以内には近づかない
・クジラとは泳がない
・親子クジラのウォッチングは全体で1時間以内
等々
特に親子クジラに配慮し、できるだけウォッチングしないようにしているが、他のクジラが見つからない時には、そっと観察させてもらっています。2022年12月には、新たに「母子クジラのサンクチュアリ」を設定しました。
座間味の特色「たっくわりクジラ」
船の方からはクジラに近づかないようにしていますが、長年の自主ルールの努力で、クジラが船を信頼し、クジラの方から寄ってくることもあります。島人は「たっくわり(沖縄の方言でくっつくの意味)」と呼び、大感動の瞬間。(座間味では、クジラと泳いで水中撮影をすることは禁じていますが、「たっくわり」の時に、船縁からそっとカメラだけ海に入れて、くれぐれもクジラを脅かさないようにして、水中の撮影をするのはOK。)
『あきちゃびよ〜!』39年前にザトウクジラと初めて出会った時に叫んだ第一声です。
島言葉で『凄い!』という意味で、その時の感動は今も忘れられない。その大きさと迫力に一瞬で虜になりました。
座間味島に帰って来るザトウクジラはとてもフレンドリーで鯨からボートに寄って来ます。船の真下でお腹を上にして寄り添ってきたり、水面に顔を出して船上の人を見たりする『たっくわり』は、座間味のホエールウォッチングの魅力の一つで、何度体験しても少年の心のようにとても大興奮します。
今でも、クジラに会う時は初恋のデートのように心が踊り、私の恋心はいつしか「ちむがなさん(愛する心)」に変わっています。私の愛する海の友人「鯨」が帰ってくる慶良間の海は、親仔鯨が出産や子育てをする大事な聖地であり、ゆりかごです。
その慶良間の海が、鯨たちにとって安心して繁殖活動できる故郷の海であり続けるよう、子や孫、次の世代にバトンタッチができるよう取り組んでいきたいと思っています。
宮城清船長 (座間味村ホエールウォッチング協会理事・副会長/船名:姫鯨)
尾ビレの模様で個別識別
ザトウクジラは尾ビレの模様がそれぞれ違い、それをIDとして個別識別しています。よく帰ってくるクジラには、「Z(ゼット)」や「すぬーぴー」など愛称があります。胸ビレの白い「ホワイトレディー」は、ほぼ隔年で子供を連れて帰ってきてくれるお母さんクジラです。
40年近くホエールウォッチング船長をしています。
鯨類研究機関などのザトウクジラの調査も毎年のようにやっています。
その経験や知識を活かして、一日中クジラを探す1DAYツアーがコアなクジラ好きのお客様に好評です。
クジラの個体識別は、尾ビレの白黒の模様や縁のギザギザで見分けますが、性格や行動もみんな違っていて、楽しいです。
クジラが帰って来るザマミの海で、知っているクジラにまた会えるとチムドンドンするさあ!
宮平寿夫船長 (座間味村ホエールウォッチング協会理事・規則委員長/船名:えりせら)
捕鯨員を展望台に配置(顧客満足度とザトウクジラの保護を両立するための重要な役割)
ツアー出港前に展望台から探鯨員がクジラを探し、ウォッチング船を誘導します。そのため遭遇率は9割以上。多くのクジラを見つけることで船を分散し、同じクジラに船が集中するのを防ぎます。できるだけ親子クジラを見ないよう、ペアやメイティングなどへ優先的に誘導します。親子クジラが浅瀬にいる場合、浅瀬に追い込んでしまわないために、近づかないよう船に周知。村外からのマナーの悪いウォッチング船やスイム船を牽制。天候や海況のチェック、船長と連携してルール遵守の助言や船の安全も見守ります。
協会のホエールウォッチング船とクジラにやさしい名物船長やガイドたち
現在、一般社団法人座間味村ホエールウォッチング協会加盟のウォッチング船は11隻。「クジラにやさしいウォッチング」の理念と自主ルールを遵守し、環境配慮と安全運航でホエールウォッチングを行っている船です。
11隻は、ほとんどがザトウクジラと同じくらいの長さかそれより小さい小型の船。この道30年以上の大ベテランの船長から、数年前に始めた若い船長も。ベテラン船長はクジラへの愛が深く、名物船長もいて常連客のファンも多いです。午前、午後の2時間ツアーや1DAYツアー、サンセットツアー、早朝ツアーなどバリエーションも豊富です。
一般社団法人座間味村ホエールウォッチング協会
座間味の『クジラにやさしいウォッチング』
座間味村ホエールウォッチング協会は、「ザトウクジラの保護」と「持続可能な観光利用」の両立を目的に1991年に設立されました。設立当初から「自主ルール」を制定し、クジラにも環境にも優しいホエールウォッチングを心がけています。クジラを愛する船長やガイドたちと一緒に、『クジラにやさしいウォッチング』に出かけてみませんか?
- 住所
- 島尻郡座間味村座間味地先1
- TEL
- 080-8370-1084
おすすめ②座間味島/慶良間諸島国立公園ビジターセンター「青のゆくる館」
「青のゆくる館」は、 慶良間諸島国立公園ビジターセンターで、座間味港のフェリーターミナルから徒歩約1分の場所にあります。
館内では、最新のVR技術を活用した海中映像の展示や、多様な生物の紹介、環境保全に関する情報提供などが行われています。また、座間味村観光協会のスタッフが常駐し、座間味島や周辺地域の観光情報を得ることができます。
慶良間諸島国立公園のテーマ「美ら海慶良間~海と島がつくるケラマブルーの世界」にまつわる5つのストーリーが紹介されています。
A ケラマブルーの秘密
B 慶良間諸島に集う生き物たち
C サンゴ礁につつまれた多島美
D 慶良間の海と生きる人々
E 暦とともに生きる島の人々
館内には「カフェ ゆくるやー」が併設されており、スナック系の軽食やジェラート、コーヒーなどを楽しむことができます。2階のオーシャンテラスからは、座間味港や美しい海の景色を一望でき、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
座間味村観光協会のみなさんに座間味島の魅力をお聞きしました!
私のおすすめはアイランドホッピングですね。
座間味島から阿嘉島は村内航路「みつしま」が運航しています。阿嘉島と慶留間島・外地島は橋で繋がっているので、阿嘉島にあるさんごゆんたく館でレンタルを始めたトゥクトゥクで回ることができますよ。慶留間橋から見る慶留間小・中学校の景色が好きです。
また嘉比島や安慶名敷島は無人島ですが、マリンタクシーで渡ることができます。
一般社団法人座間味村観光協会 バティスト・ジュヌヴェ・グリゾリアさん
あまり知られていないですが、座間味島はネコ島なんですよ!
Z.A.C(座間味島地域猫活動ボランティア団体)さんが、猫の保護、去勢避妊手術、譲渡など多岐に渡って活動を行っています。座間味島の猫の中には片耳が少し欠けた桜のような形の耳をした猫がいますが、その猫達は去勢、避妊手術を終えた猫なんです。
島内の飲食店や商店に募金箱を設置しており、また渋めなオシャレ感漂うZ.A.CオリジナルTシャツを購入して座間味島の猫達の保護活動に参加できます。
是非座間味のネコちゃんたちに会いに来てください!
一般社団法人座間味村観光協会 清水華恵さん
座間味の好きなところは、集落とビーチが近いところです。
各集落に歩いて行かれるビーチがあります。朝の散歩とか最高ですよ。夏の時期は皆さんこのビーチから海に入り、スノーケルでサンゴを見ることができます。ダイビングで潜らないとみられないようなサンゴが、ビーチエントリーで見られるのも座間味の魅力だと思います。
一般社団法人座間味村観光協会 中林このみさん
慶良間諸島国立公園ビジターセンター 青のゆくる館
~世界が恋する海~ 座間味旅行のご案内はこちらへどうぞ♪
■営業時間:9:00~17:00
■定休日:年中無休(但し臨時休業あり)
※ユニバーサルデザイン対応施設
- 住所
- 島尻郡座間味村 字座間味95番地
- TEL
- 098-987-2277
おすすめ③阿嘉島/慶良間諸島国立公園ビジターセンター「さんごゆんたく館」
慶良間諸島国立公園ビジターセンター「さんごゆんたく館」は、阿嘉港から徒歩3分のところにあります。
さんごゆんたく館は、慶良間諸島国立公園の素晴らしい自然を紹介するために、2018年3月にオープンしました。
さんごゆんたく館では、国立公園内で最大の魅力であるサンゴを中心に自然情報を提供しています。
ゆんたくとは、沖縄の方言でおしゃべりを意味します。館内はゆっくりとくつろげる空間になっています。観光案内所も併設されているので観光情報もゲットできます。
座間味村観光協会主催で、この施設を活用しながらサンゴ礁に関するワークショップや体験、イベントなどを不定期で開催しています。
さんごゆんたく館では、2024年6月から「えもび」という3人乗り電動トゥクトゥクのレンタルサービスを開始しました。「えもび」は、普通自動車免許で運転でき、『綺麗な海も見たいし全身で自然を感じたい』『橋でつながる3島を満喫したい』『海沿いをドライブしたい』といった、魅力満載の阿嘉島を堪能したい方に、ピッタリの乗り物です。阿嘉島の風を感じながら、とっておきの風景を見つけることができるはずです。
座間味村観光協会のみなさんに阿嘉島・慶留間島・外地島の魅力をお聞きしました!
阿嘉島・慶留間島・外地島の魅力は、自然・人・文化等、島にあるすべてが魅力だと思います。海沿いを散歩したり、自転車で走ったりして、のんびりとした雰囲気を味わっていただきたいです。
できることならば泊っていただいて、水平線から昇る朝日・水平線に沈む夕陽・こぼれ落ちそうな星空、すべて見ていただきたいです。都会では味わえない贅沢な時間が過ごせますよ!
一般社団法人座間味村観光協会 松川胡由里さん
おまけ:座間味村のもずくづくしのお土産たち
MOZUKU NOODLE
麺にもずくのぬめりを感じ、他の沖縄そばではなかなか無い触感。もずくの風味も感じられ、クセがないので食べやすい。座間味島にある和山海雲(わやまもずく)で実食可。
もずくそうめん
そうめんで細麺なのにしっかりとコシがあって、食べ応え抜群。クセなどもなく、さっぱりしていて食べやすい。追いもずくすると更に美味しくいただける。
もずくふりかけ
座間味島の特産品であるもずくを使用したふりかけ。エビやイワシ節などの素材がふんだんに使われているからか、ぎゅっと凝縮された海のうまみを存分に味わえる。炊き立てのご飯はもちろん、サラダやオイルパスタなどにトッピングしても美味しい。
もずくカレー
もずく×カレーということで、ビジュアルが気になったが普通のカレー。細かく刻んだもずくが入っており、もずくのプチプチした食感がアクセントになっていてとても美味しい。ほどよい辛さで、辛い物が苦手な方にもちょうどよい辛さ。
ざまみむん市場
島人の心が込もった特産品・手作り商品を多数取り扱っています。座間味島でしか販売していない商品ばかりです。座間味港ターミナル内で販売しています。もずくづくしのお土産たちはこちらで購入できます。
■営業時間: 9:00~17:00
■休み:不定休
※台風接近時は臨時休業となります。
- 住所
- 島尻郡座間味村座間味地先1
- TEL
- 070-5536-3934
| model course |紹介スポットも回れる、とっておきの旅プラン
【座間味村】いろいろな乗り物でアイランドホッピングを楽しむ2泊3日
座間味村の有人島・無人島を巡る旅
座間味村は、有人島の座間味島・阿嘉島・慶留間島と周辺の無人島で構成される多島海景観が楽しめます。今回はその島々を村内航路「みつしま」やマリンタクシー、電動トゥクトゥクでアイランドホッピングします。
| comment |一般社団法人座間味村観光協会からのメッセージ
一般社団法人座間味村観光協会
大自然の営みに触れてやさしくなれる場所
座間味の島々の砂浜はウミガメの産卵地、冬はザトウクジラの群れが北の海から出産と子育てのために訪れます。また、人が住む座間味、阿嘉、慶留間の三つの島と、周辺の無人島が作る内海は豊かなサンゴ礁が生き物を育む海域です。このように海の命が育まれる座間味で、大自然の営みに触れてみませんか。
| 編集後記 |おきなわ物語編集部
座間味村は、有人島の座間味島・阿嘉島・慶留間島と周辺の無人島で構成される多島海景観だけでなく、ケラマブルーで有名な透明度の高い海域景観を有すること、珊瑚礁に多様なサンゴが高密度に生息することや、ザトウクジラの繁殖海域であることなど、沿岸から海域にかけて多様な生態系を有することから慶良間諸島国立公園に指定されています。
今回の取材では、そのような環境で更なる自然環境の保全に努めることで、より多くのお客様に喜んでいただこうという座間味のひとたちにお会いしました。そのおかげで座間味の豊かな自然や多様な生態系が守られていることを学ぶことができました。座間味を訪れる際は、是非座間味の豊かな自然だけでなく、座間味のひとたちの想いにも触れていただきたいと思います。
【ピックアップ】連載・おきなわ41物語/沖縄にはまだ知られていない魅力いっぱい
連載・おきなわ41物語
沖縄にはまだ知られていない魅力いっぱい
41、それは沖縄県にある市町村の数です。おきなわ「41」物語では、41市町村のイマの魅力をひとつずつ独自取材。
地元民がおすすめする地域ならではの魅力や是非訪れてほしい穴場スポット、寄り道グルメなど、新しいローカル旅の目的地を紹介してまいります。
41の物語とともに、新しい沖縄を再発見してみませんか?
ザトウクジラとの初めての出会いに衝撃を受け、すぐにクジラにのめりこみました。
1987年に世界的なクジラの第一人者、カナダの鯨類研究者ジム・ダーリン博士が座間味の海に訪れ、クジラの生態や観察方法、個体識別の調査方法など、直に伝授されました。この海がザトウクジラの重要な繁殖海域ということがわかり、ますます大切にしたい気持ちが膨らんでいきました。
クジラを脅かさないように無理な操船はせず、常にクジラの行動を予測しながらクジラに優しいウォッチングを心がけています。その操船技術とクジラを思いやる気持ちがあってこそ、クジラが心を許して見せてくれる本来の姿に出会えると思っています。
ただ楽しいだけでなく、地球規模で生活しているザトウクジラについてよく知ってもらい、ここで見れる意味についても考えてもらいたいと思って、ウォッチングツアーをしています。
宮村幸文船長 (座間味村ホエールウォッチング協会理事・広報委員長/船名:セティウス)