沖縄で育まれた自然や伝統、歴史や文化に触れて、
未来に紡ぐエシカルトラベル。
あなたの五感を刺激するおすすめのエシカルスポットを
北部・中部・南部の3エリアに分け、ご紹介いたします。
中部エリアでご紹介のスポットはこちら
県内随一の美しさ、曲線構造の城壁
沖縄県読谷村(よみたんそん)にある「座喜味城跡(ざきみじょうあと)」は2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録された城跡のひとつ。「築城の名手」と謳われた読谷山按司護佐丸(ごさまる)によって1422年頃に築城したと言われ、曲線構造の城壁は県内随一の美しさと称されるほど。城に曲線が多用された理由について「県内にある他の城は固い琉球石灰岩の上に立っていますが、座喜味城は赤土の地盤の上。軟弱な地盤というところも考慮して、曲線にすることで強度を補ったんじゃないかなといわれています。」と学芸員の松田香怜さん。
この城壁は曲線の美しさに加えて石積技法が見所の一つで、四角形に加工した石を積み上げる「布積(ぬのづみ)」と呼ばれる技法ですが、自然の石をその形のまま積み上げる「野面積(のづらづみ)」、そして五角形や六角形に加工した石を組み合わせて積む「相方積(あいかたづみ)」の三つの技術も用いられています。
さらに県内最古の石造アーチ門といわれる二の郭の城門も見所。アーチ門の真ん中には「くさび石」とよばれる三角形の石がはめ込まれています。沖縄戦の戦禍を免れたほぼ当時の状態のアーチ門をぜひ間近でご覧ください。
旅の始まりにおすすめ!沖縄の歴史と暮らしを学べる施設
座喜味城跡に併設され、城の歴史や構造を知ることができる場所が「ユンタンザミュージアム」。「座喜味城跡の紹介があるので、ユンタンザミュージアムを見てもらってから座喜味城跡に行かれたほうが理解が深まるかなと思います。」と松田さんがおっしゃるように、座喜味城跡だけでなく、観光の前に寄っていただいても読谷村の楽しみ方が広がるスポット。
ユンタンザミュージアムは読谷村立歴史民俗資料館と美術館が統合され、2018年にリニューアルオープンした施設。座喜味城跡のある読谷村は、沖縄の伝統工芸品「やちむん」や特産品の「紅芋」がよく知られていますが、実は縄文・弥生時代の遺跡や、貝塚時代の箱式石棺墓とそこに埋葬されていた人骨が発見されるなど歴史的魅力も多い村。ユンタンザミュージアムでは座喜味城跡の展示に加えて、渡具知東原(とぐちあがりばる)遺跡から見つかった約7000年〜6000年前の読谷村最古の爪形土器や国指定史跡として保存されている木綿原(もめんばる)遺跡から出土した箱式石棺墓(はこしきせっかんぼ)と、そこに埋葬されていた人骨のレプリカが展示されるなど読谷の自然、歴史について知ることができます。
2階は「沖縄の暮らしについて知りたい」という方におすすめの展示。中でも驚くのは沖縄のお墓「亀甲墓(かめこうばか)」のジオラマ。地元の人でもなかなか見ることができないお墓の中を見ることができるつくりになっています。また、沖縄独自の年中行事についても詳しく知ることができるので、展示を見た後に市場などを訪れると「沖縄の行事に使われるものだ!」なんて発見も!その他にも戦前・戦後の生活の様子が再現された展示や、「チビチリガマ」という沖縄戦で多くの住民が集団自決をした防空壕のジオラマも展示されています。普段の生活から沖縄戦まで、歴史と文化を知ることができるこのフロアをまわれば沖縄への理解度が深まること間違いなし。
歴史を繋いできた人々の思いを知り、読谷村を一望できる座喜味城跡から護佐丸の見ていた琉球を想像しに行ってみてはいかがでしょうか。
- 沖縄の歴史や生活を知ることができる
- 世界遺産の城跡を見ることができる
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座喜味城跡ユンタンザミュージアム
公式サイト
住所/沖縄県中頭郡読谷村字座喜味708番地6
電話番号/098-958-3141
定休日/・水曜日・年末年始 (12月28日~翌年の1月4日)
・展示替え及び燻蒸などの臨時休館日
・祝祭日が水曜日に重なったときには翌日が休館
営業時間/9:00~18:00(入館は17:30まで)
「謎解き」で地域の魅力を新発見・再発見
沖縄本島中部に位置する沖縄市は、嘉手納基地に面し、沖縄とアメリカ文化の合わさった街。「エイサーの街」としても知られ、夏に行われる「沖縄全島エイサーまつり」は3日間で約30万人の観客動員数を誇る沖縄の夏の風物詩です。そんな歴史文化の色濃い沖縄市を巡る、謎解きゲームが誕生しました。
「琉球謎解紀行in 沖縄市 ~歴史と文化を巡る謎~」は、沖縄市内を実際に巡り、隠された問題を解く周遊型謎解きゲーム。胡屋(ごや)地区、銀天街、知花(ちばな)グスク周辺を舞台に、歴史と文化の足跡をたどりながらキーワードを導き出します。
このゲームの特徴は自由度の高さ。問題を解く順番に決まりはなく、時間制限もないため、隙間時間を活用して参加することができます。沖縄市に立ち寄る予定があれば1問だけ謎解きをして、残りの問題は後日楽しんでも大丈夫!年齢問わず発想とひらめきで楽しめるため、友人や同僚、家族、または1人でも盛り上がれるゲームになっています。
沖縄市の歴史を体感しに出かけよう!
参加方法はとても簡単です。まずはコザミュージックタウン1階にある「沖縄市観光物産振興協会」へ謎解きキットを購入しに行きましょう。キットの中には問題が書かれた冊子やマップ、ヒントブックなど、謎解きに必要なものが一式入っています。マップをみながら6カ所の謎解きスポットを好きな順で巡り、それぞれ答えを導き出すのがミッションです。
ストーリーをよく読んで、いざ謎解き開始!まずは沖縄市観光物産振興協会のすぐ近く、「エイサー会館」へ向かいます。(こちらは別途入館料がかかります。)「エイサー会館」は沖縄の伝統芸能「エイサー」の歴史・文化を集結させた発信拠点施設。エイサーで実際に使われる道具の展示や、大型スクリーンで本場のエイサーを味わえるブースもあり、1年中エイサーを楽しむことができます。
施設内を一通り楽しんだ後は、いよいよ謎解き!1問目はまだ謎解き脳に切り替わっていないので、時間がかかる人が多いそう。問題の指示を何度も読み返しながら推理を進めてみてください。どうしてもわからない時はヒントブックを見ながら解いてみましょう。
コザの中心街にある「一番街」は、1975年に県内で初めてアーケード化した商店街。現在は老舗店と、新しい飲食店や雑貨屋、オフィスなどが混在する沖縄の「コザの多彩な文化」を感じさせるスポット。時間に制限がないので、商店街でランチや、買い物、映画鑑賞とたくさん寄り道をしながら謎解きを楽しんでください。
一番街を抜けたらそのまま「パークアベニュー通り」へ。1950年代に嘉手納基地の門前町として誕生し、1982年に日本人向けのショッピングモールに生まれ変わったこの通り。現在は楽器店や刺繍店、多国籍料理に立ち飲み居酒屋など、多種多様なお店が並びます。ここでは謎解きをしながら、異国情緒が残る当時の面影を探してみるのがおすすめの楽しみ方です。
6つのキーワードを集めるとあらわれる「最後の謎」。これが解けたら解答を提出してゲームクリア!達成感を味わうと共に、沖縄市の魅力もたくさん発見できたのではないでしょうか?
「琉球謎解紀行 in 沖縄市 ~歴史と文化を巡る謎~」は、問題を解く手がかりをくれるヒントブックや、答えが聞き慣れない言葉で不安な場合にLINEで確認ができるなど、謎解き初心者の方も参加しやすい仕組みになっています。
沖縄市にまだ行ったことがない方も、リピーターさんや地元の方も、「歴史と文化を巡る謎」を解き明かしに出掛けてみてください。答えと一緒に沖縄市の魅力を発見してみましょう!
- 地域の歴史・文化を楽しみながら学べる
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一般社団法人 沖縄市観光物産振興協会
公式サイト
住所/沖縄県沖縄市上地1-1-1 コザミュージックタウン106
電話/098-989-5566
営業時間/月〜金:8:30~19:00 土日祝:10:00~18:00
沖縄の食の豊かさを引き出す、沖縄そばとソフトクリーム
水面がキラキラ輝く川沿いに、沖縄そばとソフトクリーム専門店が同居しているなんとも珍しいお店があります。うるま市にある「帆掛きそば(ふーかきそば)」「TODAYS SOFT SERVE」は、魚出汁を使った珍しい沖縄そばと、県産フルーツをたっぷりつかったソフトクリームが楽しめるお店。
「勝連の出身で、北に行っても南に行っても海だから、子供の頃から釣りはよくしていたんです。」という「帆掛きそば」店主の前當慎也さんは、10年間勤めた蜂蜜専門店を脱サラ後、昔から趣味だった釣りを生かしてこのお店を始めました。「小さい時から自分の釣った魚ですまし汁を作っていて、それをおばぁがよく褒めてくれました。仕事を辞めて一人で何かできないかと考えていた時にそれを思い出して、魚出汁で何かできないかなと思ったんです。」帆掛けそばは、前當さんが休日に自身で釣った鮮魚からとる出汁が特徴で、店内にはこの日出汁に使われていた魚の種類が書いてあるボードが設置されています。取材したこの日は「アカジンミーバイ・ホシカイワリ・グルクン」。開店10分前に配合するという出汁は、毎日違う素材だからこそ同じ味になることはないそう。
地元愛から生まれる、県産素材を贅沢に使用した一杯
沖縄そばのメニューは「帆掛きそば」と「海風そば」の2種類。「帆掛きそば」は、鮮魚からとった魚出汁と鰹節、昆布、そして県産豚の背骨とぐーやー(腕肉)からとった出汁を使います。麺の上には県産の軟骨ソーキと、出汁をとる際に使ったぐーやーを味付けし直してトッピングに。「海風そば」は出汁にお肉を使っていない沖縄そばで、お肉を食べられない友人からの意見をきっかけにメニューになったといいます。麺の上にはたくさんのアサリの酒蒸しとアーサがのせられており、スープは魚出汁と鰹節、昆布とアサリの酒蒸しの出汁から作られる海の旨みが凝縮した味わい深い一杯。
県産素材が贅沢に使われていますが、オリジナル麺も県産小麦「島麦かなさん」を使っているというから驚きです。 「2年ほど前は、あさりも潮干狩りしているおばちゃんから買い取っていたんだけどね」と県産素材をできるだけ使いたいという前當さんのこだわりは地元愛に溢れています。
もったいないをおいしいに昇華する「てぃーあんだ」
沖縄そばと一緒に頼みたいご飯メニューは、定番のじゅーしーの他に「おきなわ魚のそぼろごはん」「くずれ肉のまぜごはん」の2種類。どちらのメニューも出汁をとった後の素材を生かしたもの。丁寧に手作業で魚の骨を取り除き甘じょっぱく味付けされたこのメニューは「フードロスを減らすことと、子供達が安心して食べられるものを提供したい」という前當さんの想いから生まれたもの。「手間暇かけて素材をおいしく調理するのは『てぃーあんだ』(心・愛情を込めた料理を意味する言葉)。おばぁやおじぃが昔からやっていたこと」。化学調味料をつかわずに素材の味を調理で生かす工夫は、おばぁから受け継いだ想いも込められています。沖縄の豊かさを感じる「帆掛きそば」の沖縄そばを是非味わってみてください。
生産者さんの想いを繋ぐソフトクリーム
帆掛きそばのカウンターと並んでメニュー看板が掲げられているのが「TODAYS SOFT SERVE」のソフトクリーム。こだわりの県産フルーツを使ったソフトクリームは、店主 平原晶さんの生産者さんへの想いが詰まっています。
「2018年に沖縄に移住してきて、県内の農産物直売店に勤めていた時に、美味しい果物がB品、規格外だからと目の前で破棄する様子をみてきました。農家さんが台風などの気候のリスクもあるなか、一生懸命作ったものが収入にならないんですよね」。B品を違う形に変えて販売することができないかと、沖縄の気候にもぴったりのソフトクリーム店を始めようと思ったそう。
農家さんから直送される旬の県産フルーツをつかったソフトクリームのおいしさは「日本一!」と前當さんの折り紙付き。魅力的なラインナップが並ぶ中で、この日いただいたのはおすすめの「ツンマーファーム宮古島マンゴー」。ミルクのまろやかさに、たっぷり使用されたマンゴーが絶妙で、一口目を味わいながら「また食べにこよう」と思うおいしさ。「顔も畑も知っている生産者さんからのフルーツだからこそ、おいしさも含めて安心して提供できる」と笑顔で語る平原さんのソフトクリームは、沖縄の美味しいを再発見させてくれます。
- フードロスを減らした商品開発
- 県産野菜、規格外のフルーツの活用
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帆掛きそば/TODAYS SOFT SERVE
公式Instagram
住所/沖縄県うるま市字宇堅7
電話番号/098-973-3633
定休日/水曜日(火曜日、木曜日は不定休)
営業時間/11:00~(売切れ次第終了)
海を眺めながら楽しむ贅沢しゃぶしゃぶ
北谷町にあるアラハビーチ沿いには、刻々と変わる海の表情を楽しみながら絶品のあぐー豚のしゃぶしゃぶを味わえるお店「沖縄が生んだ幻の島豚の店 和琉(わりゅう)」があります。今年で創業17年目を迎え、沖縄プロ野球キャンプのシーズンには選手たちも足を運ぶ人気店です。
かつて絶滅の危機に瀕していたことから“幻の豚”とも呼ばれるあぐー豚は、体型が小さいため肉量が少なく、生まれる子豚の数も限られており、現在も希少価値が高いお肉。その濃厚な旨みと柔らかい肉質は沖縄の特産品として多くの人に愛されています。
あぐー豚の魅力を伝える
開業時、代表の櫻井康義(さくらい やすのり)さんは、当時認知度の低かった「あぐー豚」に注目。知人から紹介された養豚場を訪ねると、豚たちが清潔な環境の中で、餌に徹底的にこだわって育てられているその丁寧な飼育と品質の高さに感銘を受け、「なぜ沖縄の人に知られていないんだろう。これを発信できれば」とお店の方向性を決めたといいます。
和琉で味わえるあぐー豚のしゃぶしゃぶは、1種類ではなく琉球在来豚あぐーの血統を100%受け継いだ希少な「島黒(しまくるー)豚」と、良質な脂身と旨みを楽しめる「やんばる島豚あぐー」、そして「県産あぐー」の3種類。それぞれ違った味わいを楽しめるのが、和琉さんの魅力です。
あぐー豚の魅力を引き立てる和琉の味わい方
コースには、しゃぶしゃぶの他に、海ぶどうサラダや、県産もずく酢、じーまみー豆腐など沖縄らしい小鉢メニューが並び、ご飯は沖縄の炊き込みご飯「ジューシー」を選ぶこともできます。さらに締めには沖縄そばも楽しむことができる満足感たっぷりの内容です。
一番の人気は「和琉島黒豚コース」。和琉でのしゃぶしゃぶの食べ方は、山盛りのネギを沸騰した鍋に入れたあと、その上にあぐー豚をのせてお肉に火を入れます。通常のしゃぶしゃぶは鍋の中でお肉をくぐらせますが、和琉では浮かべるだけなんです!お肉の色が変わったらお肉でネギを巻いて、「秘伝のつゆ」につけていただきます。シャキシャキの長ネギの食感と、あぐー豚の甘い脂の相性が抜群で、口に入れると肉の柔らかさに感動!箸がとまらなくなります。締めの沖縄そばまで同じつゆでいただくことができる、「秘伝のつゆ」は毎日丁寧に作られているそう。あっという間に完食してしまうこと間違いなしです。
あぐー豚の美味しさをもっと知ってほしいという想いから始まった和琉の豚しゃぶは格別の美味しさ。ぜひ至福の時を心ゆくまで味わい、あぐー豚の魅力を存分に感じてください。
- 沖縄県産食材を味わえる
- 食から沖縄の文化を学ぶ
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沖縄が生んだ幻の島豚の店 和琉
公式サイト
住所/沖縄県中頭郡北谷町北前1-21-10
電話番号/098-926-2211
定休日/不定休
営業時間/18:00~23:00(L.O 22:30)