沖縄で育まれた自然や伝統、歴史や文化に触れて、
未来に紡ぐエシカルトラベル。
あなたの五感を刺激するおすすめのエシカルスポットを
北部・中部・南部の3エリアに分け、ご紹介いたします。
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栽培から製品化まで一貫して行う手仕事
透き通る青い海、手付かずの自然が残る沖縄県今帰仁村。大通りから一本小道に入ると、やんばるらしい植物が生い茂った道の先に「藍染工房 亞人」があります。
代表の早瀬 泉さんは、生まれ育った今帰仁村で、ご両親から譲り受けた畑を活かし、無農薬・無化学肥料で琉球藍を栽培をしています。
沖縄の藍染めで使用される藍は、キツネノマゴ科の琉球藍という植物で、本部町伊豆味が主産地。琉球藍を用いた藍染料の歴史は古く、沖縄の伝統的な染織りに多く使われる染色技法です。
琉球藍は年に2回の挿し木で増やしていくため、「琉球藍の栽培をはじめてから、染料になる量が収穫できるまでに2年半かかりました」と泉さん。栽培から製品になるまでの工程を一貫して行い、試行錯誤しながら藍染めの道を開拓してきました。
藍染めを体験
美しい自然に囲まれたギャラリー兼工房では、作品の購入と、気温の暖かい季節には藍染め体験を行っており、手拭い、風呂敷、もしくは自身の衣服を持ち込んで染めることもできます。
今回は手拭いで藍染めを体験。まずは丁寧に手拭いを蛇腹に折りたたみ、どんな模様になるのか想像しながら2枚1組の木型で布を挟みます。この木型の部分には染め液が浸透しないため、木型で好みの模様をつくっていきます。
木型の固定が終わると、いよいよ染め液が入った藍甕につけて染める作業へ。藍甕の中は濃い藍の色に見えますが、浸している途中の布の色は黄色や緑に近い色。これを液から出して空気に触れさせることで藍色に染まり、この工程を繰り返して自分が好きな濃さまで染めることができます。藍染め体験は、夏休みの宿題として体験にくる親子や、お母様が大切に着ていたシャツを染めたいと持ち込まれる方など、県内外からだけでなく、海外から参加されるお客様も。
藍の性質上、涼しい気温になると藍の色がしっかりと染まらないため、藍染め体験は暖かい気候の間実施され(2024年は5月から9月末まで)、涼しい時期にはお休みとなるので、体験してみたい方はHPやInstagramをチェックしてみてください。
手をかけ生まれる、自然の色に触れてみる
化学染色を使わず、植物を発酵させ作り出す藍染めは生き物。染料になったあともしっかり目をかけて管理をしてあげることで美しい藍の色がうまれます。
「藍染工房 亞人」のギャラリーでは風呂敷や衣服などのファブリック作品にとどまらず、梶の樹皮を染めて作り上げられるオブジェも販売されていますので、泉さんの作品を通して沖縄が育む自然の色に触れ合ってみてください。
- 沖縄県産の琉球藍で古くから伝わる染色技法「藍染め」を体験できる。
- 循環型の農園で栽培された琉球藍
- INFORMATIONS
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藍染工房 亞人
公式サイト
住所/沖縄県国頭郡今帰仁村字諸志1944
定休日/毎週 月・火・水・日
営業時間/11:00-16:00
"ぶながや"の暮らす自然を守り、伝える
大宜味村には、平和と自然を愛する木の精霊「ぶながや」がいると言われています。豊かな自然の象徴である「ぶながや」の遊び場として、やんばるの森に囲まれ「喜如嘉翔学校(きじょかしょうがっこう)」は佇んでいます。
「喜如嘉翔学校」は2016年に閉校した喜如嘉小学校の跡地。現在はクラフト商品を扱うショップやカフェ、書店、ハンモック製作に陶芸、サウナなどの個性豊かなテナントが入居し、やんばるの自然を体感できるツアーを実施しています。
やんばるで生まれる作品とお客様がつながる場
喜如嘉翔学校にある「山原工藝店(やんばるこうげいてん)」は、やんばる地域で活動する工芸家さんの作品を展示販売するショップ。やちむんや紅型、藍染め、アクセサリーなど、約30名の作家さんの作品を楽しむことができます。
珊瑚礁から生まれたような海を感じさせる繊細な作り込みの作品は、大宜味村で陶芸を営む螢窯(じんじんよう)のもの。東村に工房を構える森製陶所のやちむんはシンプルながらも土の色の違い、登り窯で焼成される表情の違いに驚きます。どの作品も手元に置きたくなる個性あふれるものばかり。
お店のレジカウンターでは、「Cafe Chronicle」のカフェメニューも注文することができます。学校の懐かしい雰囲気を楽しんだり、テイクアウトでやんばるの自然を眺めながら味わうのもおすすめです。
大宜味の暮らしと自然を体感
喜如嘉翔学校が提案するツアーは、「田嘉里共同売店体験」や「芭蕉布作家に学ぶ苧績み(糸作り)」などここでしか体験できない、地域に根ざした体験プランが多いのが特徴。
「”ぶながや”がいるやんばるの自然や環境を守っていきたいという想いで運営しています」と語るのはネイチャーガイドの石井雄也さん。喜如嘉翔学校の近隣集落 謝名城(じゃなぐすく)を巡る「集落散策ツアー」やどなたでも手軽にやんばるの森を体感できる「お手軽やんばるウォーキング」などのツアーガイドを務めています。
「集落散策ツアー」では、石井さんの案内で謝名城地区を巡ります。謝名城は1903年「城(ぐすく)」「根謝銘(ねじゃめ)」「一名代(てぃんなす)」という三つの村が合併し、各村から1文字づつとって名付けられた集落。豊かな自然に囲まれたこの集落を歩くと、ガイドブックでは知り得ない沖縄の暮らしが見えてきます。
ツアーに参加した10月は、大宜味村の特産品シークヮーサーの収穫時期。住宅が並ぶ小道を進んでいくと、多くの民家の庭先にもシークヮーサーが植えられ、たくさんの果実を実らせていました。シークヮーサーの周りで遊ぶようにひらひらと舞う蝶の多さに驚いていると「蝶はみかんの木が好きなので、必然的にシークヮーサーが多い大宜味では多く見ることができます」と石井さん。生活のなかに当たり前としてある植物と生きものの関係性に改めて気付かされます。
さらに進んでいくと気になるのが、至る所に用水路が繋がっていること。底の様子が見えるほど透明度の高い澄んだ水は、かつて生活用水や作物の生育のために使われ、現在は子供達の遊び場として活躍しているそう。「もしかしたら何かいるかもしれない」と石井さんが用水路に沈めてあるパイプを持ち上げると、小さなエビが。これにはツアー参加者からも驚きの声があがり、地元の子どもたちはこうして自然に触れ合いながら遊んでいるのかと、どこか懐かしい沖縄の原風景を感じました。
車に乗って通り過ぎるだけでは知ることができなかった大宜味村の歴史や文化、そして自然の豊かさを教えてくれる「喜如嘉翔学校」へぜひ足を伸ばしてみてください。
- 作家さんとお客様を繋ぐお店づくり
- 沖縄の文化を尊重し、伝える取り組み
- INFORMATIONS
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喜如嘉翔学校
公式サイト
住所/沖縄県国頭郡大宜味村喜如嘉2083
定休日/テナントによって異なる
営業時間/テナントによって異なる
特産品の魅力を伝える工夫の詰まったテーマパーク
シークヮーサーは、長寿の里大宜味村の特産品として知られ、機能性成分の豊富さから人気の果実。その魅力を見て・学んで・味わうことができるのがここ「大宜味シークヮーサーパーク」です。シークヮーサーを使用したお土産が揃うショップに加え、搾汁の様子が見られる工場見学や、カフェ&レストランまで併設される、いわばシークヮーサーのテーマパーク。
入り口から香るシークヮーサーの匂いと共に中にはいると、目の前には「夢の蛇口」が待ち受けています。どんな蛇口なのかひねってみると出てくるのはなんとシークヮーサージュース!「いつか蛇口からジュースがでてくるといいな」と願っていた大人も楽しめる仕掛けでお出迎えしてくれます。
シークヮーサーの収穫時期は工場見学のチャンス
「大宜味シークヮーサーパーク」の工場見学では、お客様1組ずつにガイドがつき、シークヮーサーが搾汁される工程を丁寧に説明してくれます。この日はシークヮーサーの収穫時期ということで、実際に工場が稼働している様子を見ながら見学することができました。
木箱にぎっしり詰まった約400kgのシークヮーサーたちは、選別されると滑り台から転がっていき、コロコロと踊るように洗浄されていきます。そのまま運ばれる先は搾汁機。高速回転しているカッターで破砕され、果汁とそれ以外に分けられます。「シークヮーサーは果皮に『ノビレチン』という成分が豊富に含まれているので、皮ごと搾るんです」とガイドさん。この「ノビレチン」という成分が、血糖値や血圧の抑制機能をもち、国内外からも注目を浴びている健康機能性成分です。
工場見学が終わると、「9月の青切りシークヮーサーと、12月の完熟したシークヮーサーの果汁を飲み比べてみてください」とご案内いただき、試飲コーナーへ。シークヮーサーの収穫は9月から12月まで行われ、収穫時期によって味わいもノビレチンの含有量も変化します。9月に収穫される青切りのシークヮーサーの果汁は、しっかりとした酸味と共にノビレチンの特徴でもある苦味を感じます。それに対して12月の完熟した果汁は甘味がありすっきり飲みやすい。収穫時期が長いからこそのシークヮーサーの楽しみ方です。
パティシエがつくる本格スイーツに舌鼓
カフェ&レストランでは、パスタを中心とした食事メニューと、パティシエが作る本格スイーツを楽しむことができます。県産フルーツや食材を活用し、シークヮーサー特有の酸味や苦味を楽しんでもらえるよう試行錯誤して作り上げられたスイーツは、大宜味シークヮーサーパークならでは。その中でも一番人気は「栗×ピスタチオ×シークヮーサーモンブラン」。美しいグリーンのマロンクリームは栗の甘味とピスタチオの香りの後に、シークヮーサーの酸味を感じる、後を引く味わい。さらにトッピングされているアーモンドで食感にリズムが加わり、シークヮーサーソースと一緒に食べるとまた印象が変わる一皿です。
シークヮーサーの魅力を存分に楽しめる大宜味シークヮーサーパークで、やんばるの恵みを味わってみてはいかがでしょうか。
- 地域の特産品の魅力発信!
- 沖縄県産シークヮーサーを活用した新しくておいしい商品の開発
- INFORMATIONS
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大宜味シークヮーサーパーク
公式サイト
住所/沖縄県国頭郡大宜味村津波1424-1
電話/0980-50-5850
定休日/年中無休
営業時間/平日:10:00~17:30 土日祝:10:00~18:00
名護で20年以上愛されつづける家庭の味
名護市為又(びいまた)に、地元のお客さんに愛されつづける沖縄家庭料理居酒屋「島のごちそう はなおり」があります。店主の新城ゆみさんは、26年前にお母さんと共に居酒屋をオープンし、2019年に場所を移転し、現在はご主人と共にお店を切り盛りしています。店内の壁面には琉球石灰岩があしらわれ、沖縄らしさを感じる洗礼されたデザイン。テーブル席に加え小上がりの座敷席やカウンター席もあり、さまざまなシーンで心地よいひとときを過ごせます。常連客も多く「20年来のお客様もたくさんいますよ」と新城さん。長年にわたって地元の人々に愛され続けている憩いの場です。
沖縄の県産野菜を主役にした定番料理と新しいメニューの魅力
沖縄県では、沖縄の食材を多く使ったメニューを提供しているお店を「沖縄食材の店」として認定していますが、「島のごちそう はなおり」もそのうちのひとつ。県産食材をふんだんに使用し、チャンプルーや人参しりしりなど定番の沖縄家庭料理はもちろん、他では味わえない県産野菜の美味しさを再発見できるメニューが揃っています。
はなおり定番メニューの「にがなの白和え」は、「ここの豆腐じゃないとこの味にならない」と断言するこだわりの豆腐を仕入れています。豆腐の濃厚さがにがなを包み込み、地元のお客さんも「苦味が少なくてぺろりと食べられる」と驚くほど。
他にも屋我地(やがじ)産の花ニラと組み合わせて「中味と花ニラいりちゃー」に。にんにくの香りが食欲をそそり、花ニラのシャキシャキ感と中味の歯ごたえが絶品です。
また、「ゴーヤーとひき肉の春巻き」は、毎年食べに来るお客さんもいるほどの人気メニュー。パリパリの皮に包まれたゴーヤーの苦味と県産豚ひき肉の旨みが絶妙に絡み合い、ビールのお供に最高の一品。このメニューは沖縄料理の代表的なゴーヤーチャンプルーではなく、ゴーヤーの新たな楽しみ方を沖縄の人々に届けたいと生まれた料理です。定番の味だけでなく、毎日でも通いたくなるメニューの豊富さに、どれを選ぶか迷ってしまいます。
祖母と母から教わった家庭の味を繋ぐ
「クファジューシーやモーイ豆腐はおばあちゃんから教えてもらって、クーブイリチーやソーキのマース煮は母から習いました」という新城さんは、自身で作り出す島野菜メニューに加え、料理上手だったおばあちゃん、食堂で働いていたお母さんの味を受け継いでいます。「なくなってもらいたくないので、残したくて伝承しています。」と明るく話す新城さんが作り出す味は、3代続く沖縄のあんまー(お母さん)の味です。
- 沖縄の家庭料理が味わえる
- 県産野菜の魅力を知ることができる
- INFORMATIONS
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島のごちそう はなおり
公式サイト
住所/名護市為又246-1
電話番号/0980-54-1992
定休日/日曜日
営業時間/18:00~22:00(L.O.21:00)