光を通し、色とりどりに輝く丸みを帯びた石、「シーグラス」。
それは、自然と人間が共存する中で生み出されました。
ガラス瓶が岩などで砕かれ、砂に混ざりながら波に揉まれることで角が丸くなり、表面はマット加工したような手触りへと変化します。
海へ行けば、お気に入りのシーグラスを1つは見つけることができ、雑貨店でもアクセサリーやランプシェードなど、様々に加工された商品をみかけます。
しかし、「シーグラス」と呼ばれるそのガラスが、元は海に流れ着いたガラスゴミだと言うことを知る人は、どれくらいいるのでしょうか。
■将来シーグラスが無くなるといい
そのためにシーグラスアートで伝える想い
「いつかシーグラスが全く拾えなくなることを願っています。」そう語るのは、シーグラスアーティストの春奈さん。
春奈さんは、海の生物や自然への想いをシーグラスを使って描いており、その作品には、言葉では表せない説得力や何か迫る気持ちを感じます。
15年以上前に訪れた砂浜で拾い、その時は呼び方も知らず「綺麗だなぁ」と持ち帰ったことがシーグラスとの出会い。最初は拾うだけで満足していましたが、シーグラスランプの看板を見かけたときにコレだ!と閃き、コツコツ「ランプ作り」を始めました。 そのうち、シーグラスで絵を描く人がいると知ったのですが、残念ながらもう亡くなられていたので、見よう見まねで自分のスタイルを2年かけて作り上げたとのこと。
最初に手がけた沖縄地図を作った際に、「クジラを見に行ったな」、「あっちにはジュゴンが住んでいるらしいな」と地図を中心に沖縄の海の生物を配置したくなったそう。 元々シュノーケリングが好きで、海の生物も大好きだったため、そうやって大好きな魚たちを作っていくうちに海のゴミ問題について考えさせられることが多くあったのだと言います。 そこから春奈さんは、元々人間が出したゴミで伝えられることがあると思い、シーグラスアートと共に、海で拾ったタバコの吸い殻などで作った作品を展示する活動にも力を入れています。
実は春奈さんは、那覇市に隣接する浦添市で、アジア料理を味わえる「隠れ家カフェ清ちゃん」を営んでいます。
店内には、春奈さんのグラスアートの作品が数多くライトアップで展示されており、光の水族館のような空間が広がっています。
「1人が変わればみんなを変えるきっかけになると意識を持って、ほんの少し何かを変えることをはじめてもらえたら嬉しいです。そしていつかシーグラスが全く拾えなくなることを願っています」と笑顔で語った春奈さん。
海風を感じるカフェで、その想いのアートを感じてみてはいかがでしょうか。