沖縄本島北部にある今帰仁村(なきじんそん)。
人口1万人にも満たない小さな村ですが、豊かな緑に囲まれて沖縄の昔ながらの家屋がちらほらとたち並び、時間がゆっくりと流れるような安らぎを与えてくれる場所です。
そんな村の中にある、株式会社クガニ(上間宏明代表、今帰仁村)が運営する「クガニビレッジ」。
ここでは、SDGsの考え方に基づき、循環型農業を通した排出ゼロを目指す観光農園プロジェクトとして、様々なことに取り組んでいます。
■今帰仁の美しい自然に育まれたクレソンは、県内のいたる所へ。
実はもともと養鰻場だったこの場所には、うなぎの養殖に使われていた生簀とハウスがあったのです。その場所をクガニビレッジが借り入れ、2021年からクガニファームがスタートしました。
この場所で自生しているのを発見したことをきっかけに水耕栽培が始まったクレソンは、クガニファームを代表する野菜に。今帰仁村の人々に昔から親しまれている「親川(エーガー)」と呼ばれる湧水を使い、農薬を全く使わないで育てられています。
豊かな環境で育ったクレソンは、県内各地のホテルや飲食店でいただくことができたり、その他にもファーマーズマーケットにも並んだりと、多くの人に愛されています。
サラダに使われたり、メイン料理に添えられていたりと、バラエティー豊かにアレンジされています。クガニファームのクレソンは、基本的にはベビークレソンで、年間を通して栽培・収穫を行っております。 そして冬季収穫時期( 11 月~ 2月頃)のクレソンは茎がしっかりと太く、葉も大きいので食べ応えも十分!さらに栄養価も高いので、まさにスーパーフードなんです。 ぜひ一度は食べてみたくなりますよね。
ちなみに、クガニファームのスタッフの皆さんが試した中で一番のおすすめは、「しゃぶしゃぶ」なのだとか!
■ゴミをゴミじゃなくしたい
クガニビレッジが始まるきっかけとなったのは、『ゴミをゴミじゃなくしたい』というひとつの思い。今帰仁村の豊かな自然を守るためSDGsに本気で取り組みはじめ、様々な取り組みにチャレンジする中で、アクアポニックス農法にたどり着きました。
アクアポニックス農法とは、「生産性と環境配慮の両立ができる持続可能な農業」として、今注目を集めている手法です。
そこでカギとなるのが、「アメリカミズアブ」という虫。アブの一種であるこのアメリカミズアブの幼虫に生ゴミを食べ与え、分解させて肥料に変えます。 その肥料をクレソンの水耕栽培に使用することで、水もきれいに保ちながら植物も栄養を吸収できるという循環型のフィールドになるのです。
クガニファームではこうして、今帰仁の自然を生かすだけでなく、ただ捨てるだけだった生ゴミが美味しい野菜や果物の栄養となり、その周辺の生き物や環境までも健やかになっていく循環型農業の仕組みが作られています。
■農場長は沖縄のお笑い芸人ベンビーさん!
このクガニファームの農場長を務めるのは、なんと沖縄でお笑い芸人として活躍するベンビーさん。
他のスタッフとともに農園づくりからはじめたとのことで、ユーモアを交えながらも農場の説明に熱が入ります。
お笑い芸人と農場長という組み合わせは珍しく感じますが、カフェや飲食店、宿泊施設などを作り、体験型テーマパークのような農園を目指すクガニファームにとって、エンターテイメントに精通する存在がキーパーソンとなるのは間違いありません。
テーマパークのように楽しみながら、豊かな自然や食べ物が育つ環境を肌で体感できるという、ワクワクするような構想。いつかそんなクガニファームで、採れたてのクレソンを食べられることが楽しみです。