■島豆腐の“もったいない”を
「おいしい」「やさしい」スプーンに
チャンプルーや揚げ物、煮物など幅広い料理に登場し、沖縄で古くから親しまれてきた「島豆腐」。別名「沖縄豆腐」ともいわれる島豆腐は、大豆を生のまま絞る製法を用いているため栄養価が高く、大豆タンパク質は一般的な豆腐の1.5倍あります。
沖縄県民に愛され、豆腐個人消費量が全国平均の約2倍という裏側で、製造過程で出るおからの廃棄問題が豆腐屋さんを苦しめていました。
「廃棄されるおからを価値ある商品にしたい。」そんな想いから豆腐屋さんと環境に配慮した商品「Pacoon(パクーン) 島おから味」を、琉球大学の崎濱花鈴さんと知念杏珠さんが開発。崎濱さんに、おいしくてやさしいスプーンと、その取り組みについて伺いました。
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■島豆腐屋さんが抱える「おから廃棄問題」
おからは豆腐をつくるときに出る豆乳を絞った残りカス。残りカスといえど、おいしくて栄養も満点です。近年の健康志向の高まりにより、高たんぱくで低カロリーな食べ物として認知は増えているものの、傷むのが早く、廃棄処理されることがほとんどでした。
日本豆腐協会によると、国内のおからの年間発生量は約70万トン。その中からなんと約3〜6万トンが捨てられているのだそうです。また、おからの廃棄には産業廃棄物として処理コストもかかります。県内の老舗豆腐店にふたりがヒアリングしたところ、なんと月に40〜100万円もの処理コストがかかっていることがわかりました。
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崎濱さんは、大学3年生のときに『食で世界を良くしよう』をテーマとしたビジネスアイディアコンテストを機に、おからの廃棄問題を知りました。いてもたってもいられなくなり、同級生の知念さんとともに「okaraokara(おからおから)」というプロジェクトを立ち上げ、島おからスプーンの開発を決意。
当初、島おからスプーンを自宅のキッチンで開発しようとしていたという崎濱さん。「膨らんだり焦げたりして、全然うまくいかないんです。見てください」と笑いながら、オーブンの中で粉々になった試作品の写真を見せてくれました。
なかなか商品の実現がうまくいかず悩んでいた最中、野菜パウダーを使った「食べられるスプーン」を開発する会社が愛知県にあることを知ったふたりは、ダメもとで相談してみたのだそう。するとフードロスの取り組みに共感してくれ、トントン拍子で話が進み、商品化が実現したといいます。
■おいしさにこだわった
「Pacoon 島おから味」
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そうして誕生したのが「Pacoon 島おから味」。沖縄の島豆腐から採れたおからをパウダーにし、約1%配合した食べられるスプーンです。クッキーのようにおいしく食べられる上に、ソフトクリームやかき氷に使っても、最後まで崩れることはありません。フードロスやプラスチック削減で環境にやさしく、さらにちゃんとおいしい。その魅力が周知され、県内ではすでに多くの飲食店で取り扱われています。
(写真提供/Pacoon製造風景)
商品のこだわりは「とにかくおいしいこと」。そのこだわりは食育の観点からも見据えられています。「Pacoon 島おから味は、小さな子どもにとって”はじめてのおから”になる可能性が高い商品だと思っています。はじめて食べたおからがおいしいと、おから自体のイメージが上がる。そうして将来のおから消費量UPも目指していけたらと思ってます」。
■「SOYSOY那覇店」で提供される
最後まで食べられるパフェ
那覇市のデパート「パレットくもじ」内にあるSOYSOY那覇店は、おからを使ったランチや保存料・添加物不使用の豆乳マフィンなどが人気のカフェ。Pacoon 島おから味を取り扱うお店のひとつです。
南国ムードあふれる店内では、かわいらしい器に盛りつけられた島どうふランチやおからスイーツを楽しむことができ、県内の豆腐屋さんがつくる島豆腐の購入もできます。
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なかでも、島豆腐を使ったソフトクリームやおからを使ったクッキーが乗ったパフェは、人気メニューのひとつ。最後まで食べられるスイーツとしてPacoon 島おから味を添えて提供しています。
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甘さ控えめでしっとり食感の豆乳ソフトクリームを堪能し、最後にスプーンをかりかり食べる。最後の最後まで味わえる贅沢さが人気の秘訣なのだとか。
現地でパフェを味わうのはもちろん、自分用やお土産に買って帰るのもエシカルトラベルの楽しみ方のひとつ。小さな子どもも食べられるので、子どものおやつとしておすすめですよ。
■SOYSOY那覇店店長
「夢みたいな商品だと思った」
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SOYSOY那覇店店長の城間麻乃さんは、沖縄県北部の本部町備瀬にあるSOYSOY本店で、Pacoonを知ったそう。
「はじめてPacoonに出合ったときは、スプーンまで食べられるなんて夢みたいな商品だと思いました。SOYSOYは豆腐を使った商品をずっと取り扱ってきたので、おからの廃棄問題も目の当たりにしていました。そこに注目してくれたのもうれしかったんです」と話してくれました。
■私にできることから、
沖縄をもっとゆたかにしたい
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■okaraokaraが沖縄のために踏み出した最初の一歩
現在は累計1万本を達成しましたが、まだまだおからの廃棄量には及ばないと崎濱さんは話します。今後はさらにおからを使った麺やドッグフード、タコスミートなど新商品の開発にも挑戦していきたいとのこと。
okaraokaraが沖縄のために踏み出した最初の一歩、Pacoon 島おから味。沖縄旅行に訪れる際は、栄養満点でおいしくてやさしいスプーンを食べてエシカルなグルメを堪能しませんか?そのおいしさと使いやすさから、SOYSOY以外でも県内多数のお店やホテルで取り扱われているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
- 【取扱店舗】
- ・SOYSOY本店
- ・SOYSOY那覇店
- ・SOYSOY名護店
- ・ホテルマハイナ ウェルネスリゾートオキナワ
- ・コザアイス
- ・Cafe Beija-flor(カフェ・ベイジャフロー)
- ・ちいさなkitchen
- ・ピースカカオ沖縄
- ・Halever(ハルエバー)
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