布に蜜蝋(みつろう)をコーティングして作る「蜜蝋ラップ」。その存在は知っているけれど、実際に使ったことはないという方も多いのではないでしょうか?
■環境にやさしく可愛いエコラップ
そんな蜜蝋ラップを沖縄本島北部の屋我地島(やがじしま)で制作するのはMAJIMU(まじむ)。「みつばちが幸せならみんな幸せ」をテーマに“自然なまま”の養蜂を手がける「おきなわBee Happy」の蜜蝋を使って、環境に優しいだけでなく、見た目も可愛いエコラップ=蜜蝋ラップを作ります。
蜜蝋は、みつばちの巣から蜂蜜をとった後に残る“蝋”を溶かして固めたもの。作るのに時間と手間がかかるため、多くの養蜂家は廃棄してしまうのですが、MAJIMUの三浦 藍子(みうら あいこ)さんは「捨ててしまうのはもったいない! 何か活用できるのでは?」と、当時まだ日本ではほとんど知られていなかった蜜蝋ラップ作りに挑戦。
「オーストラリアの養蜂家さんが作っていたんです。海洋プラスチックごみに対して疑問を持っていたこともあって、何度も繰り返し使えて環境負荷が少ない蜜蝋ラップを商品化したいと思いました」
■ストレスも
ケミカルもフリーの養蜂
沖縄方言で「真心」を意味する「マジム」が由来のMAJIMU。商品を制作する際に使用する素材を作る(育てる)農家さんたちの真心のバトンを受け取り、加工し、販売していきたいという想いから、こう名付けられました。
おきなわBee Happyを主宰するのは、藍子さんのご主人 大樹(だいき)さん。ネイチャーガイドから養蜂家に転身し、現在年間150〜300万匹のみつばちを育てています。
みつばち(種蜂)の出荷数が日本一の沖縄県。気温が15度を下回るとみつばちは活動を休止してしまいますが、温暖な気候の沖縄では、通年で飼育・繁殖が可能なのです。
「みつばちの能力を活かした養蜂スタイルを続けています。種蜂って増やす必要があるので、多くの養蜂家は蜂に対して無理をさせがちです。早く育つためにたくさん餌を与えて、病気にならないように抗生物質を使用して。うちは、いかにみつばちをストレスフリーの状態にしてあげられるかをテーマにしています。過密飼育もしません。自然環境に近い状態を保ち、みつばちの能力を活かしていく方法で育てています。巣箱のまわりは草ボーボーですが、除草剤も使いません」と大樹さん。
「みつばちの能力を活かした養蜂スタイルを続けています。種蜂って増やす必要があるので、多くの養蜂家は蜂に対して無理をさせがちです。早く育つためにたくさん餌を与えて、病気にならないように抗生物質を使用して。うちは、いかにみつばちをストレスフリーの状態にしてあげられるかをテーマにしています。過密飼育もしません。自然環境に近い状態を保ち、みつばちの能力を活かしていく方法で育てています。巣箱のまわりは草ボーボーですが、除草剤も使いません」と大樹さん。
ストレスのないみつばちは遠くまで飛べるようになるので行動範囲が広がり、多くの花の蜜や花粉を集められるようになるそうです。
■蜜蝋ラップを取り入れてキッチンを華やかに
そんなみつばちからの恵みである蜜蝋を使ったMAJIMUの蜜蝋ラップは、質の良さと使いやすさだけでなく、一枚あると「キッチンや冷蔵庫の中が華やかになる」と人気です。
蜜蝋ラップを使うことの最大のメリットは、使い捨てでなく繰り返し使えるのでプラスチックごみの軽減に繋がること。
それ以外にも、蜜蝋の中にあるプロポリス成分のおかげで抗菌・殺菌効果も期待できることや、適度な通気性や保湿性があるため、食材を新鮮な状態で保ってくれます。熱に弱いので電子レンジや食洗機は使用できませんが、お手入れはとても簡単。中性洗剤で洗い、水で洗い流して乾かすだけです。
こちらは、紅型作家 宮城友紀(みやぎ ゆき)さんが、おきなわBee Happyで育てているみつばちを描き起こした絵をデザインした蜜蝋ラップ。蜂の巣やセンダン草、パイナップルの花が描かれています。
1枚あると、キッチンがパッと明るくなる蜜蝋ラップは、半年から1年ほど持ち、3ヶ月に1度届く定期便も人気です。
現在は布に蜜蝋と樹脂、植物性オイルを染み込ませて作っている蜜蝋ラップですが「今後は100%おきなわBee Happyで育てたみつばちが集めた副産物で作ることが目標です」と藍子さん。
オンラインショップでは、蜜蝋ラップに加えて、おきなわBee Happyの非加熱の蜂蜜や、高い抗酸化・抗菌活性がある100%沖縄県産プロポリス(みつばちが木の芽や樹脂などから集めた樹脂状の物質で、高い抗酸化作用を持つことから“天然の抗生物質”と呼ばれている)原液スプレーの販売も。
みつばちの恵みから生まれた蜜蝋ラップ、蜂蜜、プロポリスを、暮らしに取り入れてみませんか?