沖縄の自然に身を寄せた
生活を体験する
「じんぶん学校」

#北部

電気ガス水道に困らない便利な生活が当たり前のいま、資源の大切さや自然環境への配慮が薄れていませんか?
自ら火を起こし湧水から水を得る体験施設「じんぶん学校」にはエコな暮らしのヒントが詰まっています。

■じんぶん学校までの
道のり

「じんぶん学校」は、沖縄の自然豊かな「やんばるの森」が広がる沖縄県名護市嘉陽(なごしかよう)の「ヌーファ」という場所にあります。

その昔、馬を引いて荷物を運んだとされる馬道(うまみち)を頼りに、人力で開拓した山道を20分ほど下った入り江に辿り着きます。

その入江にあるのが「じんぶん学校」。足を踏み入れると、そこは陸の離れ島。手付かずな自然が色濃く残り、先人たちの暮らしにタイムスリップしたように感じました。

壁のないリビングルームや高床式小屋の寝室を見つけると普段とかけ離れた生活空間に少し戸惑いを感じます。しかしきっと誰もがこれから始まる「じんぶん学校」での体験を前にドキドキ・ワクワクする気持ちが勝ることでしょう。

■じんぶん学校が気づかせて
くれたこと

「じんぶん学校」を運営する島袋信悟(しまぶくろしんご)さんと安奈(あんな)さんご夫婦に話を伺いました。

安奈さんは8歳の頃に東京から沖縄へ移住し「じんぶん学校」の創業者であるご両親と沖縄の自然に囲まれて過ごし、大学生の頃には「じんぶん学校」の開業・運営に携わる様になりました。

安奈さんが暮らしてきた幼少期の記憶を頼りにアクティビティを体験メニューとして付け加えてきた「じんぶん学校」は今年で創業25年を迎えます。おふたりは「じんぶん学校」を運営する中で、何でもかんでも便利さを求め物事の大切さが薄れている現代の生活で失ったものがあると気付かされました。

それは「自然の変化に身を添わせて自然と共に生きる」ことの大切さです。自然の中で走り回っていた子どもたちの遊びはゲーム機へと代わり、大人たちもコンクリートに囲まれた生活になり自然と触れ合う機会が減少しました。当たり前の様に食事ができるので、食べ物を頂くことに命がかかっていることへの責任感も感じなくなってしまったのではないでしょうか?

近頃はSDGsという言葉が出回りエコな暮らしを推奨する世の中に変わってきました。しかし、信悟さんと安奈さんはそのような大層な変化では無く、生活の原点回帰(げんてんかいき)が必要だと感じています。

例えば、食器は油汚れ以外は水洗いで済ませ、髪の毛はシャンプーの代わりにハイビスカスの葉で洗えばツルツルになります。またアダンの葉は油分を多く含むため、帽子や草履などに利用すれば防水力があります。自然の中に日用品に代用できるものが意外と多くあることに驚かされます。

人は自然に身を寄せ合い命の廻りの中で生きていることを感じるきっかけの場として「じんぶん学校」があり、現代に起こる様々な問題を解決するキーが散りばめられているのではないでしょうか。

■子どもに大人気の
シュノーケル

「じんぶん学校」のアクティビティで色鮮やかな珊瑚礁やカラフルな魚を見て沖縄の海を知るシュノーケルがあります。沖縄の綺麗な海は、子どもたちにとって最も楽しい遊び場ではないでしょうか? ライフジャケット・シュノーケルセットを着用するので安心して遊ぶことができます。

「海の水ってこんなにしょっぱいんだ〜」

シュノーケルをしている子どもたちからそんな言葉が聞こえてきて、子どもたちと自然と距離が遠くなっていることに驚かされたそうです。

シュノーケル中に見た魚を釣り、食材となる命をいただくこともあります。遊びの中で目にした魚を食べることで、生きることは命をいただくことだと強く感じるでしょう。そんな経験は大人も子どもにとっても本来の人間らしさを感じるきっかけになるのではないでしょうか。

■命をいただく責任感

自炊体験では、生きている鶏を屠殺(とさつ)し部位ごとに切り分け、1匹の鶏から体の内と外を見て学び食べることもあります。

命を奪う瞬間は、目を背けてしまう人も多いそう。でも、小学生の頃は隠れていた子どもが、中学生になり全て自分の手で屠殺(とさつ)し部位ごとに切り分けることができるようになったこともあるそうです。

じんぶん学校の自炊体験では「生きることは命を奪うこと」という命の廻りを感じ、命を奪い自分の命を繋ぐ責任感を強く意識せずにはいられません。

■どんな人たちが参加できるのか?

「じんぶん学校」のプログラムやアクティビティは、参加者が何を求め、何を感じて欲しいのか? またその自然の変化に身を添えて自然と生活することにふさわしいオーダーメイドで提案しています。

壁が無い小屋で生活するということはパーソナルな空間は限られていて、常に対人関係が生まれ自分以外の誰かと一緒に行動し、協調することが求められます。そんな環境はチームビルディングにぴったりです。

家族・友人での参加はこれまで以上に絆が強く結ばれることでしょう。

これまでは9対1の割合で観光客の参加が多かったのですが、ここ数年で地域の子どもたちや沖縄県内の参加者が増え、その割合は半々になりました。

「普段は何でもこなすお父さんも、初めてのことに戸惑いを隠せず苦戦することもあります。でも子供たちとお母さんの応援を背に頑張る姿にほっこりさせられるんです」と語る安奈さんは、ツアーに参加する前と後では家族の雰囲気や表情が全然違うものに感じるそうです。

最近は企業での申込もあるそうです。企業・組織で参加することで、目標に向かいこれまで以上に結束力を高めることができるのではないでしょうか?

■コロナ禍で感じたこと

コロナ禍では信悟さんと安奈さん以外誰も「じんぶん学校」に足を踏み入れない時期がありました。運営的には厳しい一方で、良かったこともあったそうです。

人の出入りが少なくなり小まめな手入れをしない期間が続き「じんぶん学校」を取り囲む植物たちはみるみるうちに成長し、自然本来の姿を見せつけてくれました。きっとコロナ禍で不安な日々を過ごしていた信悟さんと安奈さんは自然の力強さを感じ、逞しさと自然本来の姿を見せつけられ励まされたに違いありません。

コロナ禍を抜け出し、さらに自然本来の姿に原点回帰した「じんぶん学校」で、自然に身を寄せて命の廻りを感じながらの生活を体験してみてはいかがでしょうか?

また新しい沖縄の魅力に出会い、現在の生活で起こりうる様々な問題に対して解決に至るキーを見つけることができるかもしれませんね。

INFOMATION
じんぶん学校
  • 住所/沖縄県名護市嘉陽72
  • 電話番号/090-5473-8203
  • 詳細を見る
掲載日:
2023.10.26
更新日:
2023.10.27

※掲載内容は、掲載日もしくは更新日時点での情報です。最新情報は、ご利用前に各施設などにご確認下さい。

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花笠マハエ