国内有数の観光リゾート地である「恩納村」。那覇空港から1時間ほどのドライブでアクセス可能で、「青の洞窟」などのダイビング・シュノーケルスポットを有するこの村では、近年、自然に優しい地域づくりが進められています。
■環境にやさしいダイビング「グリーンフィンズ」
恩納村の取り組みのひとつとして導入されたのが、環境にやさしいダイビングやシュノーケリングの国際的なガイドラインである「グリーンフィンズ」。 地方自治体が主となってこの制度を導入するのは、恩納村が日本で初めてとのことですが、一体どんな取り組みなのでしょうか?
「環境にやさしいダイビングって、みんなが気にすれば出来ることはたくさんあるんです。ちょっとした意識でこの海の未来は大きく変わりますし、守られます。」と語るのは、実際に「グリーンフィンズ」を導入している「ベントスダイバーズ」の大原さん。
ガイドラインと聞くと少し難しく聞こえますが、実はとても簡単で、すぐに実践できるものばかりなのです。今回は、私たちに“より身近”な項目からいくつか内容をご紹介します。
サンゴの上に立たない
海底の砂や沈殿物を巻き上げない
シュノーケリングをする際には救命胴衣(ライフジャケット)等を着用する
サンゴを蹴ったり上に乗ったりすることは、サンゴを壊してしまうだけでなく、自分自身の足を怪我してしまうことにも繋がります。また、海底の砂を巻き上げると、サンゴが砂をかぶり光合成が妨げられるため、サンゴの生育を妨げます。 また、シュノーケリングの際にはライフジャケットを着用しましょう。そうすることで、身体が水面に対し並行に浮くため、思わぬ立ち泳ぎなどでサンゴを傷つけるリスクが少なくなります。 スキンダイビングの場合は、ライフジャケットはつけませんので、よりいっそうの注意が必要になります。
海洋生物を追いかけたり触れたりしない
手袋を着用しない
海洋生物へ触れることによって、その生き物たちを保護している被膜が取れてしまったり、病気に感染させてしまうことがあります。 「手袋を着用しない」という項目は少し変わった決まりですが、人間がむやみに海の生き物たちに触れてしまうことを防ぐためにも、注意の意味で設けられています。 生き物を見ることは問題ありませんが、触れたり、近づきすぎないようにしましょう。
魚の餌付けをしない
海にゴミを捨てない
多くのダイビングショップで行われている、餌付け。実は餌付けをしてしまうと、魚や海の生き物が餌に頼るようになり、病気になるだけでなく藻類など自然から得られる食べ物を食べなくなります。 そうすると、藻類がサンゴを覆ってしまい窒息死させる可能性があるのです。また、餌付けする際のゴミや残りかすが、海の生態に影響を及ぼし景観も損なってしまうとのこと。 ゴミは故意に捨てていなくても、意図せずにビニールや開いたペットボトルが風で飛んだり、流れてしまうこともあるので、できるだけ砂浜に持ち込まないようにするだけでもゴミを減らすことに繋がります。
■動けない、生きる場所を選べない
やられっぱなしだけど、サンゴだって頑張っている
98年に白化で大幅に死滅したサンゴ礁は、その2年後も再び大規模な白化にみまわれ、サンゴ礁を取り巻く美しい魚たちも姿を消しました。 追い討ちをかけるように大型の台風がサンゴを壊したこともあります。それでも自然現象で被害を受けた場所は、少しづつ再生し、現在では多くの場所で素晴らしい景観を保っています。
動けないサンゴは生きる環境を選べませんが、海が本来の状態であれば必ず生き返ります。しかし人工的な負荷が恒常的にある場合には再生することは困難です。
「恩納村には、本当に綺麗な海が広がっています。岸から近い場所に色々なサンゴが生きていたり、地形の面白さもあり、魚の種類も豊富です。 しかも長距離を船で移動しなくても存分に楽しめるので、船酔いをしにくいことも嬉しいですね。私はこの海が大好きですし、毎年来てくれる海が大好きなゲストの皆さんと大切にして行きたいと思っています。 一人ひとりの環境への心がけでこれからもずっと綺麗な海で潜れたらいいですね。と語る大原さん。
その想いから、ベントスダイバーズでは水中環境を壊さない為の方法として、中性浮力の上手なとり方やフィンワークなどを学べるコースを設けているそうです。
単純に「海を守りたい」という想いだけでなく、人間も海の中におじゃまさせてもらう一つの生物として、他の生き物を思いやり共存していけたらという願いが感じられました。
そんな環境にやさしいダイビングを、沖縄で体験してみませんか?