1杯のコーヒーを楽しみながら考える、
大人の体験学習。

#北部

■Field to Cup​ 〜 収穫から焙煎&ドリップまで
1杯のコーヒーを楽しみながら考える、大人の体験学習。

インスタントやコンビニエンスストアで手軽に買えておいしく飲める、私たちの生活に身近なコーヒー。 コーヒーって、実は育てるのが非常に難しい植物だと言われています。気温や降雨量など気候の条件も多く、主な産地はアフリカや南米、インドネシアなど。 ですが、実は近年は、なんと沖縄でも作られるようになっていることをご存じでしたか?

ここ「又吉コーヒー園」は、豊かな自然が残る沖縄本島北部・東村にあります。那覇空港から100キロ足らず、車で2時間かからない場所でコーヒーの収穫体験ができるのです。

そして体験してみると、楽しさと同時にわかるのが、その大変さ。

コーヒー1杯に込められた、生産者やコーヒーに関わる人たちの想い、努力を感じながら、貴重で豊かな時間を過ごしてみましょう。

■沖縄の豊かな土壌で育まれたコーヒー果実の甘さ

オーナーの又吉晃さん。
今が一番楽しいと70歳を越えても元気一杯。

『おはようございます!』
集合場所に着くと大きな声でご挨拶してくれたのは、オーナーの又吉晃さん。
もともとはツツジ農家として3万坪(東京ドーム2つ分)の土地を購入し、農園を始めたそうですが、次世代のリスクにならないように農薬を使わない作物を作ろうと辿り着いたのが、コーヒーだったそうです。

又吉さんのレクチャーを受けて、早速収穫体験が始まります。

■まずは収穫!
コーヒーの実はコーヒーチェリー⁉︎

ぎっしりと実るコーヒーの実。
コーヒーチェリーと言われる理由も一目瞭然。

まず驚くのが、コーヒーの実のその姿。
枝に沿うように、びっしりと赤く熟した実をつけていました。
まるで、さくらんぼのような見た目からコーヒーチェリーと言われています。

『無農薬ですから、こうやって捻るように摘んで、まずは一つ食べてみて!』

又吉さんが慣れた手つきで教えてくれた摘み方で熟した実を取り食べてみると、みずみずしく甘い!実はその糖度20度を越えて、マンゴーよりも高いのだとか。コーヒーの苦味や酸味はまるでなく、例えるならばザクロに近い味です。

慣れた手つきでコーヒーチェリーを摘んでいく又吉晃さん。
男性の背丈ほどになるコーヒーの木。
収穫ができるのは毎年11月から4月頃。
コーヒーの花のつぼみ。
白く可憐な花を咲かせ実をつける。

■コーヒーチェリーからコーヒー豆に
丁寧な豆の選別が味の豊かさを決める!

農場でコーヒーチェリーを詰み終わったら、今度は息子の拓之さんからドリップまでの工程を教わります。

まずは、コーヒーチェリーから、ひと粒ずつ種を取り出す作業。
ぬめりと共に飛び出てきた種を、ぬめりがなくなり、ジャリジャリと小石のような触感になるまで水でこすり洗いします。

次に、水洗いした豆を焙煎器にかけて乾燥させるステップ。
ポップコーンのような香ばしい香りがしてくるまで、腕がつらくなりながらも焙煎器を10分ほど水平に振り続けると、徐々にコーヒー豆らしさが出てきます。

精米機や扇風機を使って薄皮を剥したあとに、欠けた豆や色の悪い豆を取り除き選別したものが生豆と呼ばれ、コーヒーはこの状態になって初めて生産地から輸出されていきます。

■コーヒーの味が変わる大切な焙煎

最後の焙煎は、この作業によってコーヒーの味が変わる大切な工程。
焦がさないように素早く焙煎器を振り続け、甘くて香ばしい香りが香ってきたら、コーヒー豆の完成です。
やっと、私たちの知っている姿に出会うことができました。

これだけの労力をかけて作れたのが、約20グラム=2杯分ほど。
いつも何気なく飲んでいるコーヒー1杯が、いかに手間暇かけて作られてきたのかを、身をもって知ることができました。

■コーヒーを通して
伝えたい大切なこと

『収穫焙煎体験をしてわかって頂けたと思うんですけど、コーヒーになるまでの生産にかかる多くの手間や苦労ってすごいですよね。 私たちは、世界の生産者に対する感謝の気持ちとその想いを伝えていきたいんです。』と語るのは、拓之さん。

沖縄以外の地域でも、同様の手間暇をかけて作られているコーヒーですが、生産国のほとんどはいわゆる開発途上国といわれる貧しい国が多く、現地の農園労働者は過酷な上に低賃金で働かされたりしています。 私たちが日々安価で手軽に飲んでいるコーヒーの背景には、そうした現状もあるのです。

又吉コーヒー園では、世界のコーヒー農家の労働環境が少しでも改善されるように、生産地支援として、カフェで販売する豆をフェアトレードしている卸先から購入したり、農園とのダイレクトトレードも始めているのだそうです。

■自分で、収穫・焙煎したコーヒーを頂く、最高のひととき

そんなお話も伺いながら、体験の最後には自分で収穫・焙煎したコーヒー豆をハンドミルで手挽きし、ドリップ。
コーヒーカップではなく、沖縄らしいやちむんに注いで味わいます。
上品で華やかな香りが漂い、スッキリとしているのにコクと甘味のある味が口の中に広がります。

パンに塗ってコーヒーのお供においしくいただけるコーヒーチェリーのジャムは、ジャムというよりフルーティーな餡子のような初体験のお味。 使わないコーヒーの皮や果実の部分を何かにできないかと試行錯誤して作られたもので、フードロスの解消にも繋がる一品です。

人々の暮らしと環境にやさしい、「又吉コーヒー園」の様々な取り組み。
1杯の価値を感じながら、自分で収穫して淹れたコーヒーを味わう格別で豊かな時間は、きっとこれまでにない、忘れられない旅の思い出になることでしょう。

(左)園内に生える琉球カラキ(シナモン)を使った石鹸は抗菌効果も。
(右)コーヒーの葉を使ったお茶
カフェで売っている商品もオリジナリティ溢れるものばかり

コーヒー豆収穫体験
(期間:11月~4月下旬※収穫状況によって変更となります)
焙煎体験は一年中

◆収穫体験コース
1名 8,800円
※付添いの方は、ガイド料として4,400円がかかります。
電話番号: 0980-43-2838
受付時間: 平日 10:00~17:00 土日祝 9:30~17:00

INFOMATION
又吉コーヒー園
  • 住所/〒905-1205
    沖縄県国頭郡東村字慶佐次718-28
  • 電話番号/0980-43-2838
  • 詳細を見る
掲載日:
2023.10.26
更新日:
2023.10.27

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花笠マハエ