園比屋武御嶽石門や
首里城跡を
時間をかけてめぐる。
目に映る風景だけでなく
悠久の歴史を紡いだ
琉球王国時代にも
想いを馳せる
ショートトリップへ。
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案内人賀数 仁然さん
プロフィール
沖縄県那覇市出身、早稲田大学大学院人間科学研究家修了。歴史研究家。琉球の歴史の映画、 テレビドラマ、ラジオ、ドキュメンタリー番組などの監修を多数務めるほか、講演会の開催や構成作家としても活躍。 著書に「さきがけ!歴男塾①②巻」がある。
みどころは!
今回皆さんが歩くコースの道に注目していただきたいです。 500mにわたり白く色がついている道は、綾門大道(あやじょううふみち)という、王国時代の首里城に続くメインストリートです。 「素敵な門がある大きな道」という意味で、石灰岩を敷き詰めた琉球最初の舗装道路。松脂も散布されており、首里に近づくと松の香りがするといわれていました。 現在は学校や住宅街になっていますが、お寺や王家の陵墓などその風情を残します。お正月になると、琉球の役人たちが、王宮へと馬を走らせ儀式に参加します。 中国・日本など、海外からの外交の使者たちもここを通過し、紅の城へと昇りました。
琉球への客人を最初に迎える美しい門
モノレール首里駅から徒歩15分
「琉球は礼節を重んじる国」という意味の「守礼之邦(しゅれいのくに)」の文字が書かれた守礼門は、 かつて異国から訪れた客人を迎える門でした。 古くは「首里門(しゅりもん)」の名がついていましたが、庶民からは「上の方にある美しい門」という意味の 「上の綾門(いいのあやじょう)」と、親しみを込めて呼ばれていました。 赤瓦屋根に鮮やかな朱色の門は、ひと際目を引き、沖縄の青い空にとてもよく映えます。
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祈願の場として古くから守られる⽯⾨
守礼門から徒歩1分
守礼門をくぐると見える園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)は、 1519年に創建され、1933年には国宝、2000年には世界遺産に登録されています。 琉球王国時代、国王が外出する際に道中の安全を願い祈りがささげられた場所で、 門は人が通るためではなく「神への礼拝の場所」として知られています。
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賀数さんコメント
注⽬してもらいたいのは、この⽯⾨のデザイン。当時の⾸⾥城正殿を模したといわれています。 よく⾒ると…板葺きなのです。そう、⾸⾥城の代名詞ともいえる⾚⽡になるのは、18世紀頃から。 450年の歴史の中では意外に新しい建材なのでした。
首里城の見学エリアが
大幅拡大!
2019年10月31日に発生した火災で臨時休園していた首里城公園は、11月5日(火)より順次、開園区域を拡大し、正殿以外のほとんどの部分が見学可能となっています。 正殿へ続く、「奉神門」の手前まで見学可能となっており、焼けてしまった正殿のエリアの様子も門の外から少し見学することができます。 展望台である「西(いり)のアザナ」や「東(あがり)のアザナ」から眺める首里の町の景色も素敵なので、ぜひ正殿以外のエリアも見学し、復興していく首里城の姿をご覧下さい。
琉球王国時代の王族が眠る
県内最⼤のお墓
園比屋武御嶽から徒歩6分
玉陵(たまうどぅん)は、1501年に尚真王が父である尚円王の遺骨を改葬するために築いた陵墓。 墓室は3つに分かれており、中室は洗骨前の遺骸を安置するための部屋、東室は王と王妃が、西室はその他の王族が眠っています。 当時の宮殿をイメージした石造りの建物で、独特な造形は建造物としてもその価値が認められています。 国指定重要文化財(建造物・史跡)であり、2000年には世界遺産に登録され、2018年12月には国宝(建造物)に指定されました。
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賀数さんコメント
東室が国王と王妃、西室がそれ以外の王族の骨壺が安置されています。 真ん中の「中室」は、肉体と魂が今生の別れをするところ。 つまり骨を祀るところではありません。しかし1体分だけ骨壺が安置されています。 ナゼ?誰?…その秘密は資料館にあります。
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「首里城、世界遺産めぐり」
とあわせて立ち寄りたいスポット
城下町で味わう⾃家製麺の沖縄そば
玉陵から徒歩6分
⾸⾥城跡からほどに近くにある「⾸⾥ ほりかわ」は、隠れ家のような沖縄そばの店。 メニューの「ほりかわそば」は⼿間ひまかけて煮込んだ豚⾻スープに、もちっとした⾷感の⾃家製麺がよく絡みます。 柔らかいロースの豚⾁と味を引き締める薬味が絶妙に組み合わさった逸品です。 15時までの来店でお得なセットメニューを注⽂できます。
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沖縄ならではの⾹りがつまった⽯鹸
⾸⾥ほりかわから徒歩7分
「⾸⾥⽯鹸」は、沖縄の植物や果物の天然成分を使った約20 種類もの⽯鹸を販売する店。 ⼀つひとつ時間をかけて低温製造することで、素材本来の⾹りや⾊の成分を壊すことなくぎゅっと閉じ込めています。 また、ハンドクリームやミネラル豊富で吸着⼒に優れたクチャ(泥)パックなどもあるので、お⼟産選びにもぴったりです。
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近くにはこんな施設も!
嘉例山房
琉球王国の時代に飲まれていた「ぶくぶく茶」が楽しめるお店。こんもりと盛られた泡をお茶とともに味わいます。ほりかわや山城まんじゅうの後に巡って、首里石鹸を巡ると首里駅までの道のりがスムーズです。
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賀数さんコメント
「首里城に行きました~」って感じで記念撮影の名所。 素敵な門とはココのこと。そして、幕末1853年、浦賀に現れるよりおよそ50日前。 黒船、“ペリー提督”らが琉球を訪れています。 同行していた画家が描いた絵が残っています。当時から“絵になる”つまりインスタ映えポイントなのでした。 ちなみに絵でペリーは、守礼門の正面向かって右から2つ目の柱あたりに立っています。