島の地酒・泡盛と、沖縄生まれの
ラム・ジン・クラフトビールを味わう旅
旅の醍醐味は、その土地ならではのお酒×料理を体験すること。
お土産に買って帰って、旅の思い出に浸りながらおうちでゆっくり飲むのも楽しい。
そんなお酒好きとして、今、気になる旅先が沖縄だった。
定番の泡盛だけではなく、イマドキの沖縄産の酒を味わいたい。
伝統の泡盛を起点に、新たな酒ムーブメントが起きている場所だから。
きっと未知なる美味しさと出会えるはず……。
流行りのお酒の楽しみ方は?
ヒントを探して酒造直営ビアバーへ
あ、確かにゴーヤーだ。一口飲んだ瞬間、ふわっと香りが広がった。ずっと気になっていた沖縄のクラフトビール・ゴーヤーDRYは、期待通りの美味しさだった。ホップの苦みを追いかけて、ゴーヤーの爽やかな風味が舌先に広がる。
国際通りにある「バッカスの胃袋」は、「ヘリオス酒造」直営のビアバー。ブルワリー直送のクラフトビールを“生”で飲ませてくれる。ビール通のスタッフにアドバイスをもらい、ゴーヤーDRYに窯焼きピザを合わせてみた。この個性派ビールは、王道ピザのマルゲリータとの相性もばっちり。
「ヘリオス酒造」は、実はラムづくりから始まった酒蔵だそう。というわけで、看板商品ヘリオスラムを飲まずには帰れない。ねっとり濃厚な豆腐ようをつまみに、ヘリオスラムでつくったモヒートを、クイッと一口いただく。ドライなラムが口中をすっきりさせると、再び豆腐ようのコクが恋しくなる……。スタッフによれば、黒糖をかじりながらラムのロックを飲んでも美味しいとのこと。お土産は、沖縄産ラムと黒糖にしよう。ほろ酔い気分でそう思った。
老舗泡盛メーカーがつくる
南国香るクラフトジンを初体験
昨日の夜、お店のカウンターでラムを飲みながら会話したお客さんから「別の酒蔵でつくっている沖縄産ジンも人気ですよ」と教えてもらった。沖縄産のジン? しかも泡盛で有名なメーカーの? どんな味なの?と最初は思ったけれど、酒蔵で試飲して美味しさに驚いた。
オキナワジンは、ゴーヤーの苦みやピィパーズ(島コショウ)の刺激、シークワーサーのフルーティな香りで育まれている。口に含むと、南国の植物や果実の余韻が駆け巡った。風味や香味が濃いのは、泡盛の製法をヒントにした独自の蒸留技術でつくられているからだ。
「しっかりした味わいなので、炭酸で割るだけでも十分ですよ」と酒蔵スタッフが教えてくれた。もちろん柑橘を絞ってもいいし、ゴーヤーの皮をすって入れても。さらに、冷凍庫に入れると凍らずにトロみが増し、まろやかな口あたりになるという。思った以上にいろいろな楽しみ方ができそう。
アルコール度数47%のキリリとした味わいは、こってりしたラフテーにも合いそうだなぁ。試飲しながら、すでに家飲みメニューを考えていた。
これは高級吟醸酒!?
フルーティーで飲みやすい進化系泡盛
苦手だった泡盛も進化していると聞き、酒蔵を見学したくなって「くぅーすの杜 忠孝蔵」へ。酒蔵では、スタッフの案内で泡盛づくりや陶器工場の見学ができた。
「焼酎のルーツは泡盛なんです」、「糖質やアミノ酸、プリン体は含まず、アルコールだけを取り出しているから悪酔いしにくいですよ」といったトリビアを聞いて、改めて興味が深まった。
試飲タイムでは、「夢航海」という泡盛を一口。これって本当に泡盛?まるで吟醸酒のように上品な味わいで、青リンゴに似たフルーティーな余韻が残る。刺身などさっぱりした料理にも合いそう。聞けば、私がこれまで知らなかった洋ナシのように華やかな香りの泡盛、沖縄産マンゴー酵母で仕込んだ古酒(くぅーす)など、進化系泡盛がまだまだある。泡盛って基本は同じ風味、そう信じていた自分の価値観がアップデートされていく。
お店の方によれば、プレミアムな秘蔵泡盛も発売予定だという。次はいったいどんな風味!? 「くぅーすの杜 忠孝蔵」がつくる泡盛の多様性に刺激されたひとときだった。
伝統やローカル色を大切にしながらも、つくり手の柔軟な発想で進化し続ける沖縄のお酒。沖縄に行かないと出会えないお酒と人の想い。これだからお酒めぐりはやめられない。
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くぅーすの杜 忠孝蔵
住所:沖縄県豊見城市字伊良波 556-2
電話番号:098-851-8813
営業時間:9:00~17:30(工場見学の最終受付は16:30)
休業日:1月1日
アクセス:
那覇空港から車(一般道)で約15分
路線バス:我那覇バス停から徒歩で約3分