- 沖縄の暮らしと行事のこと~旧暦を知る~
- 旧暦と沖縄の年中行事
- 旧暦行事カレンダー
- お供え物の基本
沖縄の旧暦行事は、時代の変化にあわせて少しだけ形を変え、暮らしの中に残っているものが数多くあります。
ここでは、いくつかの旧暦行事の成り立ちをひも解き、先人達の暮らしや精神性に触れてみます。
冬至は一年を通して最も夜の長い日。冬至の頃になると沖縄には季節風が吹き、寒い日が続きます。この寒さを「トゥンジービーサ」と言い、冬至の日に冬至雑炊(トゥンジージューシー)作って火の神(ヒヌカン)や仏壇に供え、家族の健康祈願を行います。またこの雑炊には、滋養を付けて、寒さを乗り切ろうという意味も含まれ、もとは田芋や里芋を入れたものが作られていました。現在は、昆布、豚肉、かまぼこ、人参などを米と一緒に炊き込み、最後にネギをちらした炊き込みご飯が主流のようです。
炊き込みご飯
田芋(ターンム)
ムーチーとは、月桃やクバの葉に餅を包んで蒸した餅菓子を火の神(ヒヌカン)や仏壇に供える行事のこと。沖縄には「ムーチービーサ(寒さ)」という季節を表す言葉があるくらい、ムーチーの時期は急激に冷え込んだりします。旧暦と気候がきちんと合っていることを実感できる行事なのです。ムーチーは、その昔、人食い鬼となった兄を妹がムーチーを使って退治したという伝説に由来していると言われ、月桃の強い香りが邪気を祓い、ムーチーを食べることが厄払いなるとされています。また、ムーチーを蒸した後の汁にも魔除になるとされ、家の四隅や門などに「鬼の足を焼くよ」とつぶやきながら熱々の汁をこぼす習慣も一部地域で残っているようです。他にも、食べ終わったあとの葉で十字を作り、軒下につるせばこれが魔除けになります。なお、ムーチーは沖縄本島と周辺離島で行われ、宮古・八重山諸島ではみられません。
ムーチー
月桃
この日は火の神(ヒヌカン)が昇天し、一年間に家庭で起こった出来事を天の神に報告する日とされています。最初に屋敷御願を行い、火の神周辺のすすを払って屋敷内を清めます。次に火の神に線香を7本供えて一年間に感謝をし、年始めにお願いしたことを取り下げるようお願いすることが御願解きです。その時に、「天の神様には良いことだけを報告してください。そして新しい年にはパワーアップして戻ってきてください」というようなこともあわせて祈願します。
7本のお線香
火の神(ヒヌカン)
旧暦10月
旧暦10月1日カママーイ (竈まわり)
かまどや屋敷の掃除を行う日。昔、御嶽(ウタキ)や獅子像のある集落では火災防止の祈願を行い、各家をまわって火の用心を呼びかけたそうです。
旧暦10月1日~30日種子取(タントゥイ)
稲作が盛んな時代に各地で行われた農耕儀礼。立冬の頃に火の神(ヒヌカン)や仏壇に豊穣を願い、村をあげて御嶽へ祈願します。今でも八重山諸島の一部地域で行われています。
旧暦11月
11月中旬頃(新暦12月22日頃)冬至(トゥンジー)
冬至の日の夕食に冬至雑炊(トゥンジージューシー)を作り、火の神(ヒヌカン)や仏壇に供え、冬の訪れを告げます。
旧暦12月
旧暦12月8日鬼餅(ムーチー)
餅を月桃の葉に包んで蒸した鬼餅(ムーチー)を仏壇や火の神(ヒヌカン)に供え、家族の健康を祈願。今も盛んな行事の一つです。
旧暦12月24日御願解き(ウガンブトゥチ)
火の神(ヒヌカン)が昇天する日とされ、屋敷を清めて火の神に焼香し、一年を振り返って感謝と反省を伝えます。
旧暦12月30日(新暦12月31日)年の夜(トゥシヌユルー)
大晦日のことをトゥシヌユルーと言い、昔はソーキ汁などの豚肉料理を食べる家庭が多かったそうです。