【Chapter-1】「現代版組踊」とは

 伝統的な「組踊」をもとに、心を揺さぶる“現代音楽”や躍動感あふれる“ダンス”を加え、新たな解釈で独自の魅力を発信している「現代版組踊」。「組踊」が琉球王朝の歴史と伝統を忠実に継承するものであるのに対し、「現代版組踊」は、その歴史と伝統に敬意を払いながらも、新しい手法を取り入れた沖縄芸能の新たな地平を拓く革新的な存在です。

「役者」、ダンスを担当する「女性アンサンブル」、「男性アンサンブル」、音楽を奏でる「バンド」で構成される

「役者」、ダンスを担当する「女性アンサンブル」、「男性アンサンブル」、音楽を奏でる「バンド」で構成される

【Chapter-2】地域の子どもたちが演じる舞台!『肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)』

 「現代版組踊」の先駆けであり、現在もなお代表作として語られることの多い作品が、『肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)』です。歴史上の人物である「阿麻和利」のゆかりの地、勝連町の“地域おこし”がそのはじまりでした。(現在は市町村の合併により、うるま市となり出演者を市内全域まで広げています)
 この作品最大の特徴は、すべての出演者が地域の「子どもたち」であること。地元の中高生たちを中心に繰り広げられる舞台は、ふるさとの歴史や文化を地域の人々が再発見し、その誇りと魅力を自発的に発信していくという新たなうねりを生み出しています。多くの人の熱い思いがつまったエネルギッシュなステージは、まさに「過去(琉球)」と「現在(沖縄)」が織りなす美しいコラボレーション。そしてその先の「未来」へと繋がる大きな可能性を秘めています。
 幾度かの世代交代を重ね、国内のみならず海外公演も経験。2000年3月の初演以来、公演回数はなんと291回、総観客動員数は16万人超(2017年3月現在)を達成しました。名実共に新時代の「沖縄芸能」としての存在感を示した現代版組踊『肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)』は、国内外でも大きな注目を集めています。

中高生が一つになって創り上げるステージはイキイキとした躍動感にあふれ、観る者の心を強く揺さぶる

中高生が一つになって創り上げるステージはイキイキとした躍動感にあふれ、観る者の心を強く揺さぶる

各パートの稽古

各パートの稽古

各パートの稽古

舞台の完成度を高めるため、各パートが日々稽古を重ねている。その真剣な姿はまさに“プロフェッショナル”

【Chapter-3】『肝高の阿麻和利』のみどころ

 史劇を題材としたオリジナル脚本・演出が、現代版組踊『肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)』の大きな魅力。現代の子どもたちが時を超えて、勝連の城主だった「阿麻和利」の歴史の闇に閉ざされた真実に出会うーという構成が斬新で、あっという間に舞台の世界に引き込まれます。
 「組踊」の代表的作品「二童敵討」では、いわば“悪役”として命を狙われる阿麻和利。しかし、『肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)』では、世直しによって勝連を救う“ヒーロー”として描かれているのが興味深いところです。そこには、「自分たちの英雄と対峙することで地域の宝を掘り起こし、その誇りを未来へ伝えたい」という人々の強い思いを感じることができます。
 また「組踊」では、地謡による「歌三線」と立方による「唱え」「踊り」が舞台を構成する重要な要素となり、立方の所作も“引き算の美学”が重んじられますが、『肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)』ではバンドやダンス、セリフ等で構成。まるで「ミュージカル」のように軽やかでエネルギッシュな印象を受けます。

民草の王、英雄として描かれる阿麻和利。華やかな衣装も見どころのひとつ

民草の王、英雄として描かれる阿麻和利。華やかな衣装も見どころのひとつ

あざやかな手つき。三線の稽古風景

あざやかな手つき。三線の稽古風景

太鼓の勇壮な響きも稽古の賜物

太鼓の勇壮な響きも稽古の賜物

僕たちのエネルギーと情熱を注ぎ込んだ「肝高の阿麻和利」。その迫力をぜひ体感してください。(8代目「阿麻和利」役 久米優希くん)僕たちのエネルギーと情熱を注ぎ込んだ「肝高の阿麻和利」。その迫力をぜひ体感してください。(8代目「阿麻和利」役 久米優希くん)僕たちのエネルギーと情熱を注ぎ込んだ「肝高の阿麻和利」。その迫力をぜひ体感してください。(8代目「阿麻和利」役 久米優希くん)

 僕と「肝高の阿麻和利」の出会いは小学生の頃です。姉が参加していたこともあり、幼い頃から家族でよく舞台を見に行っていました。僕自身も中学一年生から本格的に練習に参加するようになり、高校2年生の現在、8代目「阿麻和利」を演じています。主人公を演じる機会をいただいたことで、舞台全体をみつめる広い視野と全員でつくり上げる、という意識がさらに高まりました。
 歴代の先輩方も、舞台に立つ中で自分自身の「阿麻和利」をつくり上げてきました。僕が思う「阿麻和利」は、常に民とともにあり、利他の精神で皆のしあわせを考える器の大きな人物。その豊かさや優しさを意識しながら演じられるよう、日々練習に励んでいます。
 舞台は、現役の中学生・高校生たちで構成されており、主に4つのパートがあります。そのコンビネーションが「肝高の阿麻和利」の見どころのひとつ。「役者」たちの表情や台詞、「バンド」の生演奏、「男性アンサンブル」の力強い演舞、そして「女性アンサンブル」の舞いと笑顔。2時間半の舞台には、約150人の若者が登場するので、一人ひとりが発するパワーと物語を引っ張っていく迫力ある姿を、ぜひ生で体感してほしいと思います。

舞台に立った瞬間、民に慕われる城主「阿麻和利」としての存在感を放つ

舞台に立った瞬間、民に慕われる城主「阿麻和利」としての存在感を放つ

高校2年生になった久米くん。「阿麻和利」への熱い思いを語ってくれた

高校2年生になった久米くん。「阿麻和利」への熱い思いを語ってくれた

あまわり浪漫の会TEL.098-978-0608公演情報はこちら

掲載日:
2017.06.01

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花笠マハエ